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政治・軍事からジュゴンまで
"チャンプルー的"鉄槌

建築家・真喜志好一さんらが"警鐘の書" を出版
『沖縄はもうだまされない』
−基地新設=SACO合意のからくりを撃つ−





《さうすウェーブ》の【環境−ひと】の登場者である建築家・真喜志好一さんがこのほど他の6人のパートナーとの共著『沖縄はもうだまされない』を出版した。



『沖縄はもうだまされない』
代表執筆者の真喜志好一はここ10年くらいの間に沖縄キリスト教短大、佐敷町文化センター、佐喜真美術館、沖縄大学、壷屋焼物博物館などを設計・建築している沖縄で注目を集めている建築家である。その真喜志が設計活動をおろそかにして(?)、一坪反戦地主会、白保の海と暮らしを守る会、沖縄環境ネットワークなど市民運動、環境運動にエネルギーの大半を注入して昇華させたのが本書と言って良い。
「あとがき」に自ら書いているように、マスコミが的確に取り上げてくれないことに業を煮やし、それじゃ自分たちで調べてみようと、個人参加のグループ研究会の形で立ち上げた「SACO合意を究明する県民会議」という研究会はまずSACO合意の裏にある隠された米軍文書・資料を探り出すことから始まり、試行を続けながら沖縄だけでなく県外での集会や勉強会で公表。なかでも東京まで出向いての発表が出版編集者の目にとまり、出版に結びついたという。

報告者たちのコンセンサスとキーワードは書名通りで、ずばり「もうだまされない」。7名が分担執筆しているが、 それぞれが持ち味を出している。 構成をみると、「T 米世界戦略の中の基地・沖縄」は新聞記者の崎浜秀光が基地問題を担当した経験を生かして幅広く、 かつ簡潔な表現でまとめている。「U SACO合意のからくりを暴く」は真喜志好一が担当。本書の"へそ"と言って良いが、文字通りからくりを暴くための闘志が前面に現れていて、やや生硬な表現なきにしもあらずだが、ファイティング・スピリッツの塊のような一章だ。しかし、一方で綿密な調査によってこれまで隠されていた機密文書を発見している。「V ジュゴンの海を守る」はジュゴン・ネットワークなどで先頭に立っている東恩納琢磨の語りを浦島悦子がまとめたものだが、行間に彼の温かい人柄がにじみ出ている秀逸の章だ。前半の2章がともすれば鋭さ・激しさで貫かれている中で、ジュゴンとの共生に沖縄の未来を託している語り口は、何かほっとする感じを受ける。そして「W 心に届け! 沖縄の女たちは訴える」は市議会議員として活躍している高里鈴代、女性運動グループの真志喜トミ、国政美恵の3人がきめ細かな情景描写を含めて語り合ったものを南くみ子がまとめている。沖縄の女性らしくどっしりと構え、長期的な視点から話し合っている点が印象的だ。

沖縄をめぐる最新状況は、予想された通りサミットが終わったら熱風が去ったような感じで、あのサミットは一体何だったんだろうという思いを抱く人は多いはずだ。そういう状況を含めて著者たちは「もうだまされない」と言いたいに違いない。サミットは一過性の嵐のようなもので、我々はそんな子供だましのことでは騙されないぞ、という警鐘をこの書から強く感じる。政治・軍事面からジュゴンまで、沖縄の代表的庶民料理"チャンプルー風の鉄槌"とでも言おうか。

【誉 礼】



*発行所:高文研
〒101−0064 東京都千代田区猿楽町2−1−8 TEL 03−3295−3415
A−5版 240ページ 1500円(本体)