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| =川辺川利水訴訟で熊本地裁「棄却」判決= |
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"国側の手続きは適法" 農民側、敗訴にめげず控訴の構え |
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建設省が熊本県相良村、五木村に建設を予定している 川辺川ダムから農業用水を引く農林省の 国営川辺川総合土地改良事業をめぐって、 864人が事業計画変更への異議申立てを棄却した農水省を相手取り4年前に棄却処分の取り消しを求めた行政訴訟は9月8日、 熊本地裁が農民側の訴えを全面的に退けたが、これを受けて同日から10日にかけて原告団は様々な動きを見せるとともに、 この判決は、いま公共事業の見直しが社会的機運になっている中で、「異例と言える逆の方向を示した」(弁護団、原告団)と言え、 今後の運動の行方が注目される。 原告団の動きをドキュメンタリー風にまとめてみた。
【司 加人】
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▼9月8日10:00 熊本地裁で判決「全面却下」
熊本地裁・杉本正士裁判長は判決を言い渡した。
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▼15:20 抗議の集会「司法の自殺」 農水省正面正門前に100人を越す支援の人たちが集まり、"不当判決"に対する抗議集会が開かれる。最初のあいさつが終った時、空路、熊本から駆けつけた原告団・弁護団の一行約30名が白地に青字で「川辺川利水訴訟判決東京行動上京団」と書かれた旗を広げ、整然と到着。国会から駆けつけた13名の議員たちを含め全員が拍手で迎えるなか合流、集会は一気に盛り上がった。
そして、板井優弁護団長が「今朝判決が下ったが、この判決はまさに司法の自殺だ」と糾弾するとともに、「判決では負けたが、この事業を国が進めることはできないと確信した」と指摘。梅山究原告団長が「4年間農作業を犠牲にしてまで闘った結果がこれかと思うと情けなかったが、同時にこれからだという気になった」と、控訴を示唆するあいさつがなされた。 続いて、応援に駆けつけた民主、社民、共産党などの衆参両院の議員13名が紹介され、代表して中村公共事業チェック議員連盟代表や民主党の竹村泰子、社民党の中川智子、共産党の岩佐恵美、社民党の保坂展人の各議員が判決や裁判所のあり方などについて批判するとともに、引続きこの運動を継続していくことへの支援の意思表明を行う。原告団・弁護団代表は次の行動に移る。議員代表とともに農水大臣へ抗議の面接に。
一方、集会は続開され、応援に駆けつけた各団体から支援のエールが寄せられた後、残った原告団のうち3人がマイクを握った。東さんが「まず、4年間よくやってきたと思う。判決は信じられなかった。血も涙もない判決だ。農民の訴えをなにも聞いていない」。続いて西村さんが「考えれば考えるほど不思議な事業だ。2100人の声は届かなかった」。そして、高原さんが「この裁判官は子供だましだ。裁判官を裁く裁判官が必要だと思った。農家の後継者はいない。何のためのダムなんだ」。拍手に呼応するようにプラタナスの並木で鳴いていたセミの声が一段と高くなったのが印象的だった。 16:30、予定時間通り集会は解散した。 | ||||
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▼16:00 農水相へ抗議「唖然とした局長発言」 原告団と弁護団、そして国会議員の代表が農水相へ面談を求めたが、「不在」とのことで、代りに最初は拒絶していた担当局長の構造改善局長も議員が同席するという"圧力"で渋々面談に応じたとか。その上、これが農水省の局長かと疑うような発言が相次ぎ、一行は怒りを通り越してあきれた(梅山原告団長)と後刻、その様子が報告された。いわく「だまされて(同意書に)ハンコを押した方が悪い」とか、いわく「いまアンケートをすると事業推進に不利なのでやらない」とか…。聞きしに勝る発言としか言いようがない。 | ||||
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▼16:30 記者会見「声明を発表」 代表団は怒りの解けぬまま記者会見に臨む。ここで「声明」を発表。 要約すると@判決は不当判決である。この判決は、農水大臣の違法な手続きをいわば救済したもので、司法が行政に追随したと評価せざるを得ない。司法本来の存在意義を自ら否定した。A本来は農民のための土地改良事業であるはずが、逆に半分以上の農民から不要だと突きつけられたもので、もともと農民の立場を無視したものであった。審理中、土地改良法上の同意を求めるべき対象農家を一部落としたり、本人の知らないうちに第三者が無断で同意署名をしたり、100名近くの死者まで存在することが明らかになったり、虚偽の説明によって無理矢理同意書に署名させられてきた実態も明らかにされた。B判決は、原告らが指摘した事実を大筋で認めている。事実を前提にしながらも結論として行政側の解釈におもねたものであり、公共事業の見直しを求めている現在の要求にも逆行する。C農林水産大臣は判決の中で指摘されている手続きの違法や杜撰な点を率直に受けとめて、本事業の中止を決断すべきだ。同意の取り直しを実施することが取るべき道だ−などとなっている。 会見の模様を目撃したジャーナリストの政野淳子さんは「くたびれはてて放心し、答える気力の沸かない質問に、中村議員が気を使って代りに返事していたことが痛々しかった」と、自らのホームページ『ダム日記』(No.675)で報告している。 | ||||
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▼18:30 東京報告集会「事実を白日下にさらした」 文京区民センターに場所を移して開かれた「東京報告集会」にはテレビカメラを初めマスメディアの取材陣も。約200人は集まっただろうか。板井優弁護団長の「きょうが出発点と位置付けたい」との冒頭あいさつに続き、塩川鉄也、小沢和秋両議員(共産党)から「(きょうの判決に)がっかりすることはない。いまや全国的に公共事業の見直しへ揺り動かす状況になっていることに着目すべきだ」と励ましの言葉があり、さらに中村敦夫議員(国民会議)が再び立ち「きょうの判決は吉野川についで10大ワーストの第2位だ。メジャーな悪行だ。"上等だ、やってやろうじゃないか"という気持にさせた。問題は、そこで生きている人達がプライドと正義を愛して、長くしんどい闘いだろうが、きりっとした闘いを続けていくしかない」と激励し、満場の拍手を集めた。
そして、森徳和弁護団事務局長から、@争点の一つの「事業の必要性」については、この判決は明らかに農水省の立場に立った判決だ。Aもう一つの「3分の2の同意」については、結論として75.1%(4分の3)の同意があったとしているが、当初の九州農政局は90%を主張し、その後80%になり、今回75%になった。形の上ではクリアーしているが、そもそも同意を必要とする対象農家が何軒・何人なのか決め切れていない状況で75%といっても確実なものではないということを自ら明らかにしたようなものだ、と専門的かつ冷静な分析を行い、判決結果は不当だが、それですら避けて通れないいくつかの事実を認めざるを得なかったと、結果は残念だったがもたらした意味は大きく、いわば闇の中にあった事実を白日の下にさらしたと評価。今後も農家がはっきり不要と言い、農水省に示していけば事業中止に追い込めると明言した。
最後に、WWF日本など7支援団体の代表がこもごも支援や激励のあいさつをし、全国から寄せられた「ダムはいらない人がいるのに、造りたい人がいる」など激励文の披露の後、原告団、弁護団全員が壇上に並び、梅山団長が結びの言葉を述べて散会した。
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▼9月10日18:30 人吉で現地報告会「控訴へやる気満々」 東京から地元に戻った原告団・弁護団は、一息いれるひまもなく、人吉パレス小ホールで「現地報告会」を開く。 約200人の人々が続々集まり、報告会は小沢議員のあいさつに続いて、まず弁護団が経過報告し、それを受けて会場から質疑と意見が出された。意見は「このままでは気がおさまらない。次の段階へ進もう」に集約される。 これに勢いを得たかのように弁護団から「控訴」の提起がされ、梅山原告団長からも「断固闘う」との意思表示があったが、結論的には「(その方向で)検討する」ということで集約され、20:00閉会した。
以上は、原告団事務局の林田さんに電話で伺った現地報告会の概要である。
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以上が「川辺川利水訴訟」の最新の情報である。 今回の熊本地裁の判決は幸か不幸か「川辺川」に止まらない論議を提起した。たとえば、真の公共事業の見直しとは何か? わが国の裁判はどうあるべきか? 農水省って誰の味方なのか? 何を考えているのか? 等々実に広範囲に、そして深層の問題を提起してくれた。その意味では大変な裁判長ではないかとも言える。おそらく燎原に広がる火という感じで、事態は様々な方向へ動き始めるのではないか、という予感がする。 | ||||
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