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水俣病患者たち10人の語り集

岩波新書『証言 水俣病』が発刊
水俣フォーラム編集、"「時代の感受性」を問う"




1996年に東京で開催された「水俣・東京展」で講演した10人の水俣病患者の"語り集"が水俣フォーラムの編集により、岩波新書として発刊された。




4年前のものをなぜ今頃? と思われる向きもあるかもしれない。しかし、書を開けば、一気に10人の人たちの語り・訴えが改めて読む側の心の中に入ってくる。この逆らえない衝撃はなんなんだろうか。 96年9月から10月にかけての16日間、水俣病公式確認から40年の節目にあたる企画として、東京・品川の屋外で「水俣・東京展」は開かれ、3万人の人たちが足を運んだ。会期中、10人の患者たちがこもごも体験談を大衆の前で話した。 時には絶句し、時には嗚咽しつつ。そして、聞く側にも同じ反応が広がったのが印象的だった。あれから4年がたとうとしている。その間、「水俣病事件」は終らせられようとしており、風化しようとしている。 しかし、患者たちが語ったものを、3年の歳月をかけて補足・構成した「文字」で読むと、「語り」とは異なる何かを訴えてくる。表現手法は異なっても語り部たちが体験した事実と真実があるからだ。 書の帯に"時代の感受性を問う"というキャッチがある。確かに、今そしてこれから生きていく我々の感受性が問われていると言っても過言ではない。その意味で、多くの若い人たちに読んでもらいたいと切実に思う。 年表・参考文献も手際良くまとめられている。



書が発行された2月18日は奇しくも患者代表としてリーダーシップを発揮し、10人の語り部に加わっている川本輝夫さんの一周忌であったという。なお、この本の印税は水俣展開催などの活動に用いられるという。
【司 加人】



*発行所:岩波書店(岩波新書)
〒101−8002 東京都千代田区一ツ橋2−5−5 Tel 03−5210−4000
新書版 216ページ 660円(本体)