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安井潤一郎さんは早稲田で生まれ、育った生粋の"早稲田っ子"。家業の肉屋系総合食料品スーパー(屋号=稲毛屋)の二代目で、小学校のPTA会長を引き受けたことが商店会長を引き受けるはめになったと笑わせながら、早稲田商店会が環境運動・リサイクル運動を立ち上げる経過を以下のように分かりやすく説明する。 早稲田大学周辺の商店街は7つ。ピーク時には700店舗あったのが450まで減り、しかも「住んでる地元組がその半分に減り、チェーン店など住んでいない外部からの進出組が増えた」という構成になっていることを紹介。その商店街が96年、夏枯れ対策をなんとかしようということになり、前年に早稲田大学の敷地内に進出してきたリーガロイヤルホテルもメンバーに加わってもらい事業委員会で検討した結果、前例のない早稲田大学の敷地(大久保庭園)で野外コンサートができないかという発想になり、新宿区長の協力を取り付け、そして「ダメ元で大学に掛け合ったら、区が協力するというのに協力しないわけにいかない」という思っても見ない回答を引き出し、 それには"教育の街・早稲田"の名に恥じない「利口そうなイベントをしなければ…」ということから、"環境"というキーワードを思いついたという。 しかし、当時は「環境なんて市民運動の自己満足であり、酸性雨なんて降ってない、CO2なんて見たことない…というほどの認識だった」が、議論の結果、"環境と共生 今、早稲田から"というキャッチフレーズで"エコ・サマーフェスティバル"を行うことになった。ただ、そういうイベントをやってごみを出したんではみっともないという考えから、「日本中の環境機械メーカーに呼び掛けたら、空き缶やPETボトル回収、生ごみ処理機、発泡スチロール処理機、段ボール・電池の回収など、驚くほどの企業が無料で参加してくれ」、 中でもゲーム付き空き缶回収機・PETボトル回収機が評判を呼び、イベント当日の直接の缶飲料の売上げは200缶にすぎなかったのに、集まった数は1300缶にのぼり、とにかく1回目の試みとしては成功したと自祝した。
同時に、これらのイベントを通じて街全体がモラルの面を含めて動いた。「儲かること(得すること)と楽しいこと」がこの種の運動を盛り上げるキーワードだ。今、日本全体が価値基準=金(かね)になってしまっているが、早稲田商店会の場合、価値基準の多様化=選択肢の多様化につながり、それが精神的なものを含めて豊かさの証明につながっている。 楽しいこと=遊び心であり、イコール知恵で、知恵は知識と情報だ。「自分たちの街は自分たちで守る」という精神が大事。自分だけで守るということはなにもすべて自分たちだけでやるということではない。いろいろな組織と緊密な連携を取って、行政参加の街作りということだ。行政が何もしてくれないではなく、 行政に参加させて何かをやっていくことがこれからのこの国には必要不可欠だ。 どういうわけか、全国の中学校の修学旅行の一環として、早稲田の商店会を見学しようという動きが出てきて、それならと受け入れをシステム化した。超一流のホテルと自負していたリーガロイヤルホテルも修学旅行生の宿泊を受け入れ、一昨年ゼロだったのが昨年は2672人もの中学生が泊まっている。厳しいホテルの経営状況の中で、これだけの実情はそう小さくない。商店会の中には、非遺伝子組換えや完全無農薬の食材を使ったまんじゅうを、その名も"五味(ごみ)まんじゅう"として、売り出そうという企画も進んでいる。
たった3年程度の経験と実績だが、振り返ってみると、利害の反する各商店にとって、もっとも遠かったテーマ「環境」という切り口だったので皆がその方向を向いて、行動に結びついたといえる。今、活性化という言葉が横溢しているが、活性化の「活」という字は、自分の進まんとするする方向を自分で決めるということであり、役所の補助金を当てにしている商店会に活性なんてない。早稲田の7つの商店街にはアーケードもカラー舗装もない。それらは舞台に過ぎない。そこで演ずる役者がどう自覚し、どう動くかが問題だ。環境運動・リサイクル運動とはそういうものだというのがこれまでの結論だ。
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そして最後に、早稲田大学の学生で、昨年のベストセラーとなった『五体不満足』を書いた乙武洋匡さんのことにも触れ、入学した当時は遠目から4年間学生生活が務まるかと心配していたが、前述のイベントの時に、乙武さんから「一緒に街作りをしたい」とのアプローチがあり、「僕にしかできないことがある」との発言を聞いて以来、意気投合して講演活動などをジョイントしているエピソードなどを披露。乙武さんのさわやかで、きわめて前向きな姿勢などを紹介して締めくくった。
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