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ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議が第3回シンポ

宮田摂南大教授「ライフスタイル変え、官民一体で循環型社会を」
第3次提言では「4ピコグラムでは甘い。世界最高水準目指そう」



ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議(代表=立川涼前高知大学学長)の第3回シンポジウム「ダイオキシン類緊急対策第三次提言に向けて ダイオキシンの原因を絶つために−廃棄物・素材対策を考える」が11月20日、東京・千代田区のプレスセンタービルで開催された。立川涼代表の主催者あいさつの後、宮田秀重摂南大学薬学部教授の「ダイオキシン類の発生対策の必要性」と題する基調講演が行われ、続いて4人のパネラーによるパネルディスカッションに移り、100名を超す聴衆が熱心に耳を傾けた。 第三次提言は近くまとめるが、同国民会議としては、ダイオキシンの基準を「4ピコグラムに甘んじることなく、あくまで目標はゼロ」にすることを明らかにした。 





《基調講演》

▼宮田秀明(摂南大学薬学部教授)

胎児性毒性など身近な問題も続出している

《基調講演》

  • ダイオキシン類をなぜ重要視するのかは、これまでの環境汚染は主として特定の発生源や工業製品等による比較的限定された範囲で起こっていたため、その汚染対策は比較的容易であったが、ダイオキシン類は様相がまったく異なり、加害者と被害者が一致するという前代未聞の超毒性をもったもので、日常生活に直結しており、それだけ影響が大きいからだ。
  • ダイオキシン類の90%以上は廃棄物焼却施設から発生し、発生源から排煙とともに大気中に放出され、環境汚染を引き起こし、最終的には食物連鎖を通して人体汚染をもたらす。ダイオキシン類の問題点は、超毒性、難代謝性、高生態蓄積性であることと、環境中できわめて安定している点にある。一旦環境汚染が起こると、長期間にわたって汚染が持続することになる。具体的には、半減するのに湖などでは10−20年かかる。
  • 水田に飼っているアイガモへの農薬を通しての汚染や、日米で子宮内膜症が増えており、胎児毒性が問題になっているなど身近なところに問題が発生している。子宮内膜症の増加にダイオキシンは影響している。
  • 人体汚染でいえば、母乳が心配だ。大阪府の調査では1970年代から母乳汚染は半減していることになっているが、最近の母乳調査の結果に基づいて算出した乳児のダイオキシン類の1日摂取量は体重1キログラム当り67.1〜149ピコグラムTEQとなり、耐容一日摂取量を約17〜37倍も超える。福岡や埼玉の最高汚染者では約50〜90倍にもなる。母乳汚染は深刻と言わざるを得ない。母乳の安全性を科学的に検討することが緊急課題だと考える。国際的にも、胎児毒性は緊急課題の一つだ。
  • 我々が松の葉で調べたところでは、日本の大気中にはPCDDとPCDFの濃度が高い。県別で見ると、神奈川、千葉、大阪などが高く、産廃処理場が多い所も高い。また、例の能勢美化センターの従業員を調べた結果は、事務方と灰の扱い者では約10倍も現場従事者の方が高いことが分かった。
  • 輸入食品も問題だ。日本の食糧自給率はいまや40%を切ろうとしており、それ自体も問題だが、それらの輸入品が汚染されているという事実も軽視すべきではない。
  • データの信頼性ということも大きな問題だ。サンプリングや計測の仕方によって大きく異なるのが現状で、評価にはきっちりしたデータが不可欠だ。行政と住民が同じ所で測定しても10倍も違うというケースがある。私はその両方ともが正しいと思っているが、要はやり方が異なるからだ。所沢の野菜が社会問題化したが、行政側が出した野菜のあのデータは間違っているのではないかと思う。
  • 結論的に言うと、いまの日本のシステムではリサイクルすればするほど環境悪化するのではないか。排ガス・排水処理をしっかりやらないと、ただリサイクルすればいいというものではない。ただ、10年先の資源の枯渇を考えると、無資源国・日本はもっとも資源を無駄使いしており、モノを大事にし、再利用を考えるのは絶対必要なのは言うまでもない。
  • そこで、まず個人が身近にできることとして、@ゴミになるモノの入手削減(買い物袋の持参や不要なモノは持ち帰らない) A再利用可能容器(リターナブル)の物品購入 Bゴミとして焼却される運命にある塩素系プラスチック製品や塩素系プラスチックを含む製品の購入をやめる Cゴミの再利用促進 Dゴミの徹底分別への協力 Eリサイクル製品の購入促進 Fゴミを野焼きしたり、小型簡易焼却炉で燃やすことを中止する G植木の剪定葉などや草木は土地に余裕があれば細切りして堆肥化する H使い捨てからモノを大事にするライフスタイルへの変更、などを上げたい。
  • 要は、大量生産・大量消費・大量廃棄というライフスタイルを変えざるを得ない状況にきている。いまこそ産官民が一体となって、循環型社会を目指した社会システムを構築することが必要である。不明な点が多いが一つ一つキチッとやらなければならない。



《 パネルディスカッション 》

パネラー
▼立川 涼(国民会議代表・前高知大学学長)
▼高見幸子(ナチュラル・ステップ・ジャパン副理事長)
▼荻原二美(「塩ビとダイオキシン」を考える東京市民会議・
 国民会議会員)
▼鹿野美紀(国民会議常任理事・弁護士)

コーディネーター
▼佐藤 泉(国民会議常任理事・弁護士)

《 パネルディスカッション 》




「三次提言」はゼロ排出と素材は製造・使用段階に遡及の要訴える

▼鹿野美紀(国民会議常任理事・弁護士)

  • これまでに第一次(2月)、第二次(7月)の提言を行ってきたが、それらを踏まえて近く第三次提言を行うべく、案をまとめたので説明したい。まず、基本的な考え方は、@排出ゼロを目指す A現状維持的でなく、世界最高レベルの施策に積極的に取組む B正確な実態把握に努める C予防原則に立ち、科学的見地ばかりでなく、社会的な合意形成によって対策を進める D製造・使用段階まで遡って発生源対策に取組む E飛灰・焼却灰、農薬に関する特別対策を講じる F循環型社会の構築を目指した総合的対策の一環として、排出抑制に取組む−である。
  • 以上の基本的考えに則って、排出源対策として「規制対象施設の拡大と規制値の強化」、「飛灰・焼却灰対策」を提言し、規制対象施設の拡大と規制値の強化では@排出源として判明している施設すべてを規制対象とする。A排出「施設」以外の排出源対策を行う。B排出源の早急な調査を行うーことを提案する。一方、「素材対策」に関しては、@素材対策の必要性 A塩ビ対策の必要性をあげ、今年7月に成立した「ダイオキシン類対策措置法」では素材対策はまったく盛り込まれなかったと指摘。塩ビ対策については、塩ビの規制に強く反対している塩ビ業界の主張に反論、デンマークの例などにあるように、塩ビ対策は実現できる。さらに、「農薬対策」では、@CNP問題を教訓にすべき Aダイオキシンを含むおそれのある農薬については農水省が自身で含有の有無を再確認せよ−などを提案したい。いずれにしてもこれまでの行政はすべてが後手に回っており、具体的には農薬の使用規制などを提案したい。
  • これらを中心に、さらに会員などの意見を聞き、早急に三次提言にまとめたい。


企業の協力なしでは成り立たない

▼高見幸子(ナチュラル・ステップ・ジャパン副理事長)

  • スウェーデンに25年生活した経験から申し上げる。スウェーデンは10年前にダイオキシンに対処し、98%減ったこともあって、いまは化学物質政策として、環境目標を15にまとめている。その中心は、有害物質ゼロを目指すというもので、天然のものでも濃度ゼロにしようと呼びかけている。
  • 問題は企業が積極的に取組まないと解決できない。具体的な例として、3歳以下の玩具にフタル酸は危険とか、包装資材にPBCはほぼ使ってないとか、建設会社では下請けに使わない化合物のリストを提示しているとかがある。良心的な企業には協力しようという雰囲気がある。
  • 難分解性で、蓄積性の化学物質はゼロにしたいということと、海に出さないことを企業の責任として進めつつある。日本も大きく、高い目標に向かって、たとえ長くかかってもやってほしい。


デンマークのように"塩ビ税"による規制は有効では

▼荻原二美(「塩ビとダイオキシン」を考える東京市民会議・国民会議会員)

  • 塩ビを通じてダイオキシンを考える時、デンマーク政府の姿勢や対策は参考になる。最近もデンマークの関係者と接触したが、同国政府は本年6月に「塩ビ戦略」を発表した。新たに生産する塩ビ製品には健康に有害な物質や環境汚染物質を含む添加剤が使われないこと、可能な限り塩ビは焼却炉から排除されることなど6つの目標を掲げ、これを達成するため塩ビ1キロ当り約31円の塩ビ税が課せられることになっている。
  • この塩ビ戦略には伏線がある。91年に産業界が「塩ビ削減計画」をまとめ、焼却炉に入れないこととか、リサイクル率を定めたが、5年後に検証したところ、目標を大幅に下回っていたことから、政府が不満足の意向を示し、6月の案をさらに強める方向で、この12月に議会に新たな政府案をかけることになっている。
  • いずれにしても、塩ビに対しては強い姿勢でのぞんでおり、日本は調査研究中を繰り返しているが、これでは人の命を守れないので、積極的に働きかけていきたい。その一環として、税上での規制は注目すべきと考えている。


一般焼却炉への予算傾斜など日本の対応は混乱している

▼立川 涼(国民会議代表・前高知大学学長)

  • いまの日本の状況を見ていると、排出の源がはっきりしてないのに、一般焼却炉への予算が傾いている。本当に適切かどうか疑問だ。そんなに金使わなくても手はある。
  • インベントリーに農薬が入っていない。
  • PPD起源のダイオキシン問題は取上げられていない。したがって、コプラナーはゴミからは出ない。 ごみ焼却はコプラナー対策にならない。日本人にとって半分はこれなのに…。
  • 塩ビは間違いなく汚染源だ。塩ビがなくなったら今の焼却炉は半値でできると思う。
  • 我々の提言はこれまでは行政への要求のカラーが強かったが、次の第四次では個人・市民の集団 が何をするかが決定的に重要だ。議員立法も出てきており、効果的かもしれない。
  • 東南アジア各国のゴミの処分場の問題や中国の塩ビ包装材の自然発火など現状はダイオキシンが効率的に発生するシステムになっている。世界やアジアの問題であり、いずれ日本に食糧になって戻ってくることもあり得る。
  • 日本の企業は、世界の情報をいち早くつかんでいる。が、プレッシャーがかからないと動かないというのが実態だ。
  • いずれにしても、日本はここ2、3年で急速に対応したので様々な混乱が起こっている。しっかり しなければいけない。




この後、聴衆からも意見が出され、事務局側はそれらを踏まえて、最終的な第三次提言にまとめあげたいと収斂した。





ダイオキシン・環境ホルモン国民対策会議
「人類だけでなく、地球上のあらゆる生物の種の存続の危機を招いているダイオキシン・環境ホルモン汚染の危機を避け、子供たちの未来を取り戻したい」という思いから、全国の女性弁護士158名が呼びかけて98年9月に結成された。活動内容としては、政策の提言と推進、情報交換、NGOとの協力推進、調査活動、相談活動、シンポジウムの開催、講演会・学習会の開催と講師派遣、ニュースレターの発行等としている。50人の設立発起人には石弘之、宇井純、浦野紘平、北野大、C.W.ニコル、椎名誠、田部井淳子、なだいなだ、原田正純、松崎早苗、宮田秀明ら各界の著名人が名を連ねている。同会議ではより多くの入会を呼びかけている。個人は入会費1000円、年会費2000円。


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