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| 学生の声 |
| 母国でのAPNEC6に参加して |
| 廖 卿恵 (一橋大学経済学研究科修士課程環境経済学専攻) |
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台湾から日本へ留学中の廖 卿恵さんは里帰りの形でAPNEC6に参加。母国での開催とあって感じたことはいろいろあったようだ。立派な日本語で、日本の学生とは異なる目線でのコメントが寄せられた。
台湾における環境破壊の状況などにも触れてもらった。廖さんは間もなく留学を終えて帰国する。
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「台湾」を再認識し、フォローできたことが嬉しかった ―― 母国で、あのような会議が行われ、留学中の日本から、いわば里帰りのような感じで出席したわけですが、どのような感慨と感想を持ちましたか?
―― 会議は成功したと思いますか?会議そのものの印象は? 廖:どのような条件を備えたら成功した会議なのか良く分からないので、判断できませんが、個人的には自分の国に対して今まで見えなかったことが見えて、いい勉強になったと思っています。 会議に関する感想としては、各国からきた方々が英語で話し合っていたので、あまり台湾にいるとは感じられなかったのです。英語といってもほとんどの皆様には第二外国語ですから。 意外なことに私は、グローバル・スタンダード=アメリカン・スタンダードということを感じました。ある意味で、英語力の勝負にもなっていましたね。 ―― 台湾のボランティアの学生達と交流したと思いますが、いかがでしたか? 廖:私たち制度作りの理論者と違って、会議中、ボランティアにきていた学生たちは現場を回っている技術者がほとんどです。
それに、台湾にいる学生たちの環境に対する気持ちと私のような留学生の環境に対する気持ちの差を知りたかったのですが、
事務上の付き合い(意見融通)で終わってしまったので、残念でした。もっと時間をかけて交流できればよかったのに、あまり余裕がなくて、ディスカッションはできませんでした。
廖:非政府組織の会議はどうすべきかについての問題にかかっているんですよね。 実際には、非政府組織の会議はできるだけ素朴にしてほしいのは暗黙の認識みたいですよね。会議にお金をかけるより、 もっと他の有意義なところにお金を使ってほしい、ということですよね。 しかし、このような"派手なやり方"は台湾の普通のやり方でもあります。不思議なことで、
食べたり歌ったりするほうが台湾の"庶民的"なやり方ですよ。信じられないかもしれませんが、
実はこうした大雑把な宴会席はホテルの中の上品な食事ぶりよりは安いのです。(ホテルは雰囲気勝負と言われていますが)
台湾的やり方の一つの特徴は賑やかにやるということです。よく台湾人は暖かいと言われていますね。宴会席にいると、もうあつあつですよ。
皆様がいっしょに楽しんでいただけるように、情熱全開です(笑い)。私の場合、台湾の環境にいたので、このようなやり方には慣れています。
うるさいと思っても、お祝いの場合はほとんどそうですから、何も言えなくなりますよね。私はそういう環境に育てられたので、
どうしても鈍感になってしまうのですね。でも、やはり外国の方々にとっては過激でしょうかね(笑い)。
廖:あまりのひどさに、胸を痛めました。そして怒っていました、自分の政府に。世論調査の結果では、国民の政府に対する不信感の高さはすごいです。
政権交代させられましたが、その成果はどうかまだ目にしていません。
政治に対する不信は台湾人の悲哀です。でも、こうした不信の中で、NGOの皆様は頑張る姿を見せてくれました。本当に感心しています。これを見て、私も頑張らないと、と思いました。
解説者の方は、「政府は絶対主動的にやってくれないという制約の中で、私たちは政府にやってもらう努力をするしかないです」と述べていました。
こうした政府を動かせる意志は感動的なものです。よし、私も頑張るぞ、と思いました。
廖:私は率直に申し上げて、決まり文句なので、あまり感心できませんでした。しかし、出席してくださったこと自体はほめてあげたいです。
なぜかというと、あの時期は台北市、高雄市の市長選挙を控えて、陳水扁氏は選挙運動でもっとも忙しい時期でした。翌日の新聞記事でも分かるように、
APNEC6への出席より陳水扁氏の選挙宣伝のほうが大きく報道されています。しかし、こうした時期にAPNEC6にきていただいたことは心強いことです。
大統領は環境に対して関心があるというふうに見えるので、ある程度の影響力を持っていると思います。まずは新聞に載せることから生じる影響力です。
台湾の主な新聞である『民生時報』、『民衆日報』などに載っていることと、子供・青少年向けの新聞である『国語時報』と『台湾青年時報』には1面にピックアップされていました。
これも陳水扁氏が演説に来たからこその影響力だと思われます。記事そのものは、会議のことより陳水扁氏のスピーチの内容が中心になっていましたが、
いずれにしても陳水扁氏の出席は皆の中で多かれ少なかれ話題になったと思います。
廖:そうですね。台湾の環境破壊はさらに進んでいると思いますよ。なぜかというと、従来の環境破壊を収めていないうちに、
新しい環境汚染の地下水汚染や土壌汚染を引き起こしているからです。日本にきてから、台湾の環境汚染の深刻さを実感できるようになりました。
しかし、台湾人は台湾で生活しているので、慣れているせいか、あまり感じていないようです。私は気管が弱くなったのは高校の時代でしたが、それはなぜか良く分からなかったのです。
周りにも私のような人たちがいて、よりひどい状況の人達もいたので、自分は普通だとさえ思っていました。そう、日本でいえば花粉症みたいな感じでした。
台湾の環境は世界中で一番悪くて人が住めるところではないと良く言われています。しかし、ずっとこの環境に生活してきた私たちは住んでいるのではないか、というふうに解釈されると、
まだ大丈夫という誤解を招いてしまいます。それゆえ、台湾の環境問題は確実に進んでいると思います。台湾人たちの環境に対してあまりにも鈍感しすぎるのが主な問題ではないかと考えますが……。
こうした公害輸出でまず問われるのは輸出に対する道徳感ですよね。しかし、公害輸出が認められた国自体には、完全に責任を負わなくていいというのは考えがたいです。 要するに、外貨を稼ぐために、自国の環境を売ることは問題ではないかと考えます。自分の立場を強くすれば、そんなことは発生しないと思います。 自国の環境を犠牲にすることは、自分の国民全体を犠牲にすることと分かってもらいたいですね。しかし、経済成長を最優先として考えている途上国にはまだまだ時間かかる問題だと言えそうです。 それに、残念なことに、台湾は日本からの公害輸出という状態から脱出できたものの、今では、同じことを中国に押し付けているのです。 被害者であった台湾がこんどは加害者に変身しているのです。恥ずかしい限りです。こういった自分だけ良ければ良いという考え方があるかぎり、 「南北格差」の壁がなかなか取り払えなく、「持続的な発展」がいくら喧伝されても、実現する日は本当に来るのでしょうか。 ―― 今回一時帰国されて、環境汚染の現状について改善したか? それともますます深刻化しているかなどの話しは出ませんでしたか? 廖:不景気の風が吹き回るこの世の中、環境保護には厳しい時期に入りましたね。経済が安定しないと、環境は配慮されにくいと言われていますが、台湾の場合はなおさらです。 台湾では2000年に「土壌汚染整治法」が施行されて以来、土壌及び地下水汚染はクローズアップされてきました。 実は、私の兄は台湾のハイテク産業団地と言われる新竹科学工業団地に勤めていますが、各方面からの圧力の下で、地下水水質調査を始めたそうです。 調査の結果は、揮発性有機化合物の汚染が目立っているということでしたが、財源がないという理由で浄化の責任は無視されています。実際のところ、 ほかの大気汚染、水質汚染などの問題もかなり深刻化しています。新竹科学工業団地には毎年、環境保護のための予算がありましたが、2000年までは2000万元ぐらいだそうです。 総生産額が1兆元ですので5万分の1という、本当に雀の涙ほどです。 今、世界中で半導体産業の不況は目に付きます。このことは半導体産業を中心としている台湾にとって、大きな衝撃を与えています。その結果、ハイテク産業による環境問題より、 皆の関心事はハイテク産業における経済的な動向です。新竹科学工業団地が期待されていることは早く台湾の経済を救うことなのです。 あまりにも近視眼的ですよね。しかし、残念ながら、これが現状です。 私はどう思えばいいのでしょうか。一所懸命頑張って、真実を世の中に曝したい、という気持ちが強いです。 しかし、それだけで問題が解決できたら苦労しないですよね。できるだけ解決策も探りたいです。残った課題は山ほどですが、一歩一歩進んで行くしかないですね。
【注】廖郷恵さんは2003年2月、留学を修了して帰国した。
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