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 【APNEC6特集】
トップインタビュー(2)




APNEC6が開催されるまでには資金面を初めクリアーしなければならない問題が山積していたが、とにもかくにもバーを越えた。 そして、各国間の協力もあって、多くの関係者は「成功」と判断したようだ。 主催国を代表して、事務局長として縦横に豪腕をふるった中山大学副教授の邱 文彦さんと、協力した日本側を代表して、日本環境会議代表の淡路剛久さんに振り返ってもらった。 邱さんには文書で、淡路さんには帰国後インタビューで。

1) 主催者代表  邱 文彦 (台湾国立中山大学副教授)
2) 日本側代表  淡路剛久 (立教大学教授・法科大学院準備室長)





〈日本側代表〉


淡路剛久立教大学教授 ・ 法科大学院準備室長

(日本環境会議理事長)



際立った主催国・台湾の実行委員会の積極姿勢


 ―― 6回目のAPNEC6が終わって、最初から関わっておられるお立場から、総論的に振り返っていかがでしょうか。

淡路:こんどのAPNECは6回目だったわけですが、際立った印象は現地実行委員会・台湾サイドの邱先生以下のみなさんの積極性ですね。APNEC6開催に対する姿勢、準備のやり方など、どれをとっても過去5回のものと比べると抜きん出ていましたね。APNEC6がいよいよ次の段階に入ったという印象を持ちました。

 ―― それはどういうことからでしょう?

APNECは6回目でようやく進化したと評価する淡路さん
淡路:まず、台湾はいわば立候補の形で名乗り出ていただいたことから始まって、幕を開けてみれば参加者数も14の国と地域の300人以上で、その層も多様な人たちが参加した。分科会を覗かせてもらっても台湾のいろいろな大学の先生方や環境NGOの人たちが積極的に参加していた。

さらに、陳水扁総統を初めとして環境問題に関わっている大臣や行政の高官などが出席されたことが上げられますね。いままでは、どうしても行政と環境NGOは開発ということをめぐってうまく行かないことが多いわけで、台湾の場合はそうでもなかった、ということでしょうねえ。

それと、最終日の現地視察で北に向ったグループ−私もそこに参加しましたが−で非常に深刻な土壌汚染問題を目の当たりにすることが出来、これからすごい問題になるので、一緒に考えようという問題提起がされたことも印象深かったですね。

―― 少し別の見方をしますと、今回は政府・行政・産業界など従来の環境NGO中心の色彩でなく、オール台湾という感じと、演出が派手に感じたという見方と、さらには一部の台湾の参加者からは資料も使用言語も英語だけだったことにいかがかという指摘も聞かれましたが………。

淡路:まず第一の、政府も参加していたという話ですが、別のグループが高雄に入る前に台北経由で政府の環境関係機関などを訪ねて調査やヒアリングをしたのですが、その過程では土壌汚染の問題など全然出なかったと言っていました。しかし、国の最高トップが開会式だけとは言え、出席し、さらに各報告の中では政府をビックリさせるような、むしろ政府としては困るようなことが報告されたりしたわけです。このことはどういう事を意味するか。行政が中に入ってくるとかの意味ですが、NGOが行政を突き上げたり、問題を突き付けたりする段階のレベルでAPNECが終わるのだったら、おそらく政府サイドはそういうものは見もしないだろうし、世論に対するアピール効果はあっても、行政を動かす力になり得るかどうかという問題はあるわけです。

それで、私は基調講演で、APNECなりアジア環境会議というものは政策を動かす段階に入っていく必要があるだろう。その動かし方は、外から批判をして動かすというやり方もあるし、ある種のチャンネルを作って行政を動かすというやり方もあるだろう。ただ、アジアの現状というのは多様で、しかも開発途上の国々が多い中で、APNECのような国際的なシンポジウムが国内問題についてなにか具体的な政策で提言するというのはなかなか難しい面もある。やり方次第では国内で活躍しているNGOに逆にリスクを負わせることにもなりかねないんですね。しかし、国際的な機関に対して政策提言をして、場合によっては一緒に政策の立案をする。つまり、環境と開発ということでぶつかっているところで、共通の場で議論をし、提言していくというのは国際機関だからできるわけです。そういうことが今後は可能ではないか―と申し上げたわけです。

今回の場合は、台湾の国内問題−実は、日本と深い関係はあったわけで、その意味では国際的な問題だったわけすが−について、政策への反映というか、そういう枠組みを作らなければいけないというところまで行ったわけで、マイナスの部分もあったでしょうが、環境政策を動かすという点では大きなプラスの面もあったと言ってよいでしょうねえ。

それから、ちょっと贅沢過ぎたのではないかということですが、これはお国柄というか、それぞれのところのやり方でいいと思うんです。感想として、贅沢だったと言うのはいいですが、まあ、それぞれのやり方があっていいと私は思いますね。

―― 使用言語の問題についてはいかがですか?

淡路:これは、むしろ感心しました(笑い)。日本人よりよっぽど英語力が高いし、参加者のほとんどがあれだけ流暢に英語で話すという実力にびっくりしました。ただ、英語だけで通すかどうかということは、実は資金問題と関連するんですね。ご存じのように、同時通訳というのはコストが違いますのでね。このへんの諸事情を勘案しないと……。かりに台湾語の通訳が行われても日本人はほとんど分らないわけで(笑い)、どっちにしても外国語になるわけです。まあ、我々の語学レベルを高める必要があるのではないですか?

―― 台湾の市民の人たちが無料で聞けるようなシンポジウムがあったり、一般の人たちが参加しやすい企画があってもよかったのでは、という感じもしましたが。

淡路:その点は、そうかもしれませんね。



次回のネパールは最終的には半年前に状況判断


―― 次はネパールでの開催が決まりましたが、反政府運動などいろいろな面で心配をする向きがあるのですが……。

次回開催地のネパール代表(右端)と語る淡路さん(左端)
淡路:ネパールの場合、前回の時から立候補されたわけですが、先日、ネパールの代表の説明を聞きましたら、地方都市の部分で起こっていて、首都のカトマンズではないということと、外国人への攻撃はないと言っていました。あと2年ありますので、その中で情勢が良くなる方向へ行けばいいなと言ってましたが、いずれにしても1年あるいは半年前に情勢を良く調べて判断する必要があるかもしれませんね。

―― APNECの今後の展開とも関わりますが、先ほども出ました台南での元日本企業の跡地から高濃度のダイオキシンや水銀が検出された問題はいろいろな面に波及する可能性があるわけですが、日台間でどのような連携プレイが考えられますか? あの場で日本側の諸先生はサインをされましたが。

淡路:まず第一時的な措置としてどうするか、相談をする事になっています。その結果を踏まえて政府に提案することになりましょうし、次の段階で調査団うんぬんということになりましょうから。それでは日本は何をすべきか、何ができるか、台湾はどういう仕組みを作っていくかなどに進むでしょうねえ。そういう意味では、高雄でのサインは第1段階での要請ですね。



APNEC、"京都宣言"の域にようやく踏み出した


―― 冒頭に、APNECはようやく次のステップに踏み出したというお話がありました。これは、APNECをスタートした時に狙っていたことが実現の段階に入って来たということでしょうが、最後に今後のAPNECについて伺いたいのですが。

淡路:97年にAPNEC3を京都で開きました。その時の宣言の中で、いろいろ提案されたわけです。その中のかなりの部分がここへきてようやく実行され始めた。第1回から考えれば10年ちょっとで動きが出てきたということですね。その一つは、韓国・ソウルに事務局があるわけですが、それがしっかり機能してきて、現地の実行委員会との信頼関係やネットワークが出来てきた効果でしょうねえ。あと数回積み重ねればアジアの中でも認知された存在になると期待しています。


【2002年11月14日、立教大学にて】  




台南のダイオキシン汚染問題で現地から協力要請


―― 台南の土壌汚染問題で新しい動きがあるようですが・・・。

淡路:その後、現地から日本側へ協力要請がきました。その後の現地の土壌汚染の実態調査で前回の結果をはるかに超える桁違いのダイオキシン濃度、水銀濃度が明らかになりました。台湾の環境省から邱先生のところへ対策の検討の依頼があったということで、日本側へ協力の依頼がきました。日本側から調査・協力団を派遣することを検討し、現地と相談しています。

【この項、2003年3月13日追加】