〈 自身のこと 〉
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- これまで、この種の講演会は約300回に及んでいる。学生時代からどうしても国連関係の仕事をしたかった。しかし、その前に高校受験、大学受験とも失敗し、国連の職員の試験もすんなりとは受からなかった。93年に採用の通知がきた時は天にも登る嬉しさだった。
しかし、国連職員として仕事をし、カナダなどに赴任して、国連の限界を強く感じ、地球環境問題も食糧問題も途上国の貧困の原因はほとんどが先進国の我々の生活にあることに気づき、そのことを若い世代に伝えたいと思い、それには大学で教えることだと何回も不採用の経験をもちながら、ようやく就職したが、4年勤めて今年3月に辞めた。
- 今、地球が壊れている状況や悪化の一途をたどっている状況を伝えるには、非対立の姿勢でみんなが一緒に考え、行動すべきだと悟り、講演と研究活動を続けている。
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〈 ダイオキシン問題 〉
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- これがもつ猛毒性は、あのサリンの10倍、青酸カリの1万倍ということから想像できよう。そして、卵パック1個燃やすことで後楽園ドームが基準値の2倍の濃度になるという話からも想像できよう。
- 油に溶けやすく、白身の魚に吸収されやすい。大型の魚ほど多い。牛乳からの汚染もある。日本の場合、牛乳汚染の規制がない。ヨーロッパに比べ汚染度はひどい。厚生省(当時)調査によると、WHO(世界保健機構)の基準値を20倍も超えている。
- そういう状況から、日本の若者の精子が激減しているという調査結果も出ている。51歳で1cc当り1億2000万個くらいに対し、20歳でその3分の1の4000万個というデータがあり、若くなるほど精子の数は減っている。ダイオキシン問題は“最後の環境問題”とも言われている所以だ。
- 世界の200ヵ国中もっともひどい国が日本だ。それは焼却炉の数が圧倒的に多いからだ。しかし、一方でごみを燃やさないと早晩ごみ処分場がパンパンになってしまう。燃やせばダイオキシン、燃やさなければごみが溢れるというジレンマに日本はある。この解決策の一つは、ヨーロッパ各国が進めているごみを徹底して減らすことだ。処分の有料化も有効な手段だ。
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〈 環境への対応−自ら実行していること 〉
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- 我々が日々の生活の中で何気なく使っているものに、環境ホルモンを含んでいるものが数多く目につく。塩ビ製のおもちゃ、ヘアカラー、歯磨き粉、台所用の洗剤、ラップでチンすることなどなど枚挙にいとまがない。
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| シャンプーや合成洗剤は使わないと、自ら実行していることを熱く語る上村さん |
- 私自身のささやかな経験を披露すると、台所で食器を洗う時には合成洗剤を使わずにお湯とアクリルたわしで洗っている。洗髪の際にはシャンプーは使わない。
風呂に入った際に、まず湯で頭髪を洗い、次に洗面器の湯の中に酢を入れて洗う。そして最後に酢を湯で洗い落とせば、私のような緑の黒髪が保てる(笑い)。
一人一人がシャンプーの使用量を減らすことは環境全体にも負荷を減らすことにつながる。歯磨き粉でもマッチの先くらいで十分磨ける。
- 電磁波対応もある。電子レンジによってチンすることは強い電磁波を当てるということで、私自身は使っていない。安全に使うためには、ラップをしないで陶器を使うことだ。
- 携帯電話からの電磁波も基準を40倍も超えている。とくに子供には良くない。イギリスでは子供に携帯電話の使用は禁止している。日本はそういう措置をまだしていない。
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〈 グリーンコンシューマー 〉
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- 無駄買いやめて、無駄食いやめて、ダイエットしよう(笑い)。こういう考え方がヨーロッパには増えた。一口にグリーンコンシューマーと言っている。
事実を知り、出来ることから始める。周りの人に伝える。意思表示をする。そして仲良く、楽しく一家団らんを図る。
- 意思表示の一つには「ノー」を言うことも含まれる。環境意識のない政治家を選んだのは誰か? 私たちだ。
しかし、それならチャンスはある。これからの投票ではそういう人は選ばなければよいのだ。
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〈 地球温暖化・オゾン層破壊…… 〉
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- 100年前、地球の人口は16億人だった。それが今、61億人と言われ、2050年には93億になるとされている。
- 一方で、アジアでは1日35,000人の子供たちが死んでいる。年間にすると、実に1300万人だ。これが世界の現実だ。こういうことをなんとかしたいと思い、国連に入った。しかし、飢餓や貧困の根本原因がどこにあるのかに気がついたので国連を辞めた。
- その原因は何? どこ? その答えは「日本」だ。日本は世界の資源の15%を消費している。食料を、資源を大量に輸入して、大量に廃棄している。そしてごみ問題やダイオキシン問題を起こしている。食料や資源を遠方から運ぶために食品添加物や電子レンジを使っては環境ホルモン問題を起こしている。日本こそが世界の飢餓の原因の一つを起こしている。このことに気づいたので帰国した。未来のカギを握っているのは日本人、我々の動きだということをみんなで自覚しよう。
- NASAによると、2020年にはオゾン層の3分の2が破壊されるという。オゾン層の20%が破壊されると、紫外線Bが大量に注がれ、皮膚ガンや白内障の人々が増え、さらに農作物が出来なくなるという観測がある。
- 温暖化はより深刻で、二酸化炭素が増えており、地球の温度は2〜3℃アップする。そうなると生態系はついていけない。森の40%以上を失う。食料も収穫できなくなる。
- 他にも山ほどあるが、問題なのはこれらが同時並行で悪化していることだ。故に、1つのことだけでなく、出来る限りあらゆることを知恵を絞り、みんなで協力しあってやっていくしかもはや生き残る道はない。
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〈 アフガン、地雷…… 〉
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- 振り返って、結局犠牲になったのは誰か? 一番弱いひとであり、子供だった。そして軍需産業だけが良い目を見たにすぎない。
- 世界には今、地雷が1億1000万以上ばらまかれ、1日70人が死傷し、後進国で安価に生産され、200万〜500万個が埋設されている。NGOなどによって10万個が除去されているのが実態だ。
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〈 ブータンという国 〉
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- 今、日本の社会や学校は崩壊しつつあるとされているが、それにつけてもブータンという国は対照的な国だ。紹介したい[と、スライドで同国の人や自然を紹介する]
- この国は、GNPは日本の100分の1にすぎないが、環境に負荷を与えない国だ。家族のきずなが強く、人と自然、人と人とのつながりが強い。誇れる伝統と文化を持っている。
- 我々と同じ地球に住んでいるが、ブータンは環境負荷はかけていない。しかし、日本が環境を壊せば彼らにも悪影響を及ぼすのだ。
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〈 ヨハネス・サミット 〉
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| 感情こもった上村さんの語り口は聴衆をたちまち引きつける |
- 72年のストックホルムに始まった環境サミットは92年のリオデジャネイロについで3回目だったが、南アフリカのヨハネスブルグに5万人が集まった。今回は4つの実行・実施がうたわれていた。すなわち、(1)パートナーシップ (2)具体的な数値目標 (3)グローバルガバナンス (4)企業責任であった。
- しかし、これら4つのポイントはいずれも掛け声だけで終わってしまった。あいまい決着だった。失望した。その理由を、私なりに分析すると、政府は、国益を背負う政府代表団であり、国益とはその国のお金と経済だ。NGOは力が弱かった。あまりにもバラバラだった。
- それでは、これから我々は何をすべきだろうか。国内的と国際的に分けられるが、まず国内的には、市民の意識を高めること、地方自治体を変えることではないか。そして、国際的には、一言で言えば“ネットワーク”だ。市民とNGOを繋ぐ。
現状と根本原因を掴み、ビジョンや成功例を共有することと地球規模のネットワークでいっせいに行動を起こすことではないだろうか。
- 現状を変えるために事実を知ろう。たとえば、去年の世界の軍事費は97兆円だ。これをみなでなくしたらどうだろう。これらのことは一例に過ぎないが、とにかく「あきらめないで、一緒にやろう」がキーワードではないだろうか。[と結んで、井上あずみの『君をのせて』をエンディングに流して終わった]
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◇
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際立つ巧みな話し方。だが、データの使い方に不安なきにしもあらず
―― セミナーを傍聴して
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まず、際立っていたのは話し方の巧みさである。それは、あたかも教会の牧師か宗教団体の教祖のような錯覚を起こさせる。話術としては、対話型とでもいうのだろうか、5分に1回くらいの割りで必ず聴衆に答えさせる。声を出させる。
自らの挫折の例を巧みに話の中に散りばめるあたりも、「環境」という聞く人によっては難解なテーマでだけに、聴衆と遊離しないように絶えず心配りをしているようにも感じた。
したがって、聴衆は居眠りどころか、何時の間にか話しに引き込まれていく。相当なボイストレーニングを重ねた、と見た。講演直後、音楽を流すというのもこの種の講演会ではみられないユニークなスタイルだった。
問題は話の内容である。環境ホルモンにしてもダイオキシン類にしても、温暖化にしても地雷にしても、ほとんどが既報の、しかも一般紙を中心にした記事、データを取り込んでいる。
もちろん、演者が十分咀嚼、消化しての取捨選択した結果であろうが、もし、援用した記事が誤報であったり(最悪の場合、その訂正を見逃していたり)、恣意的であったら? と危惧したのは筆者だけではないだろう。
細かい話だが、こんな一幕もあった。途中、日中の天候の良さも手伝って場内の気温が高い。聴衆の熱気もあり、確かに場内は少し暑かった。
そこで講師は聴衆に暑いかと尋ね、聴衆が暑いと答えると、すかさず係員に「もう少し冷房を効かせてください」と注文。ここは、温暖化を議論するなら「ここで室温を1度下げることで温暖化を促進することになるので、みなさん我慢してくださいね」が筋ではなかったか…。
もう一つは、この種の講演で2時間半びっしり話し通すのは珍しいし、それだけに講演する側としてはだれないように気配りしていると思われるが、やはり最後には「質問」の時間をきちんと取ることを心がけて欲しいと感じた。
あれだけ幅広く触れただけに、身近な話から環境サミットの話など、なんらかの質問はあったはずだ。
ところで、講師が理論的にリードするNPOグループは日本を代表する一つ、と言っても過言ではない。現に、先日行なわれたヨハネスブルグの環境サミットに123人ものメンバーを派遣したが、1グループでこのような多人数は「世界広しといえども我々だけ」と豪語した。
いま、日本のNGOのレベルアップが望まれているだけに、上村さんおよび地球村グループの担う責任は大きい。期待するゆえに苦言めいたものを申し上げておきたい。
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《 ミニルポ 》
講演予定はメジロ押し。深夜まで懇親会に付き合い翌朝10時には羽田に
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| セミナー終了後、深夜まで懇親会に付き合ったというが、翌朝10時には次の予定のために東京に戻った(羽田空港で)
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偶然というのは面白いもので、翌朝、帰京する飛行機が上村さんと一緒で、しかも同じ窓側のすぐ席が前と後。
初対面(実はそうではなく、沖縄サミットの前後のイベントやNGOセンターで沖縄で会っていることが後で分かった)のあいさつをして、少し話をする機会を得た。
まず予定。講演中に何度も触れていたが、前日は人吉市で講演し、その後、熊本でやり、東京経由で埼玉県へ出向き、さらに翌日も予定が入っているという。しかも、前夜は懇親会に午前1時過ぎまで付き合ったという。
疲れていないと言えば嘘になるのだろうが、絶えず笑みを絶やさない上村さんのショーマンシップは見事と言わざるを得ない。
次に、「途中、絶句する場面が何回かありましたが、自然発生的になるのですか?」と、やや意地悪な質問をすると、「どうしても感情がこもってしまうので…」と苦笑いしながら答えてくれたが、それだけ、地球環境について、とりわけ次代の子供たちについて真剣に考えているからだろうと感じた場面だった。
最後に、講演の終わりに曲を流したことを。「私の話と、あの曲によって聴衆が少しでも勇気をもってもらえたら、という気持で流しています」とのことだった。
羽田空港から、“地球村の語り部”は次の目的地へさっそうと向っていった。
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