swave logo (←home)
cover




熊本学園大学「水俣学」レポ・第1回
 
熊本学園大学で日本初の「水俣学」、9月20日に開講
=原田教授、吉井前水俣市長ら多彩な講師陣=




水俣病問題を多角的に研究し、その全容の解明を目指した総合研究「水俣学」が熊本学園大学の正規の授業として、9月20日から計13回にわたり、開講されることが決まった。 同大学では数年前から花田昌宣教授(社会福祉学部学部長)らを中心に、当時、熊本大学助教授だった原田正純さんを教授に招いて「水俣学」構想の構築・開講を検討してきたが、このほど後期課程として、開講することになった。

このほど明らかにされた講師陣と講義内容は別表の通りだが、様々な立場から「水俣病」に取組んできた人たちがそれぞれの分野から見た水俣病の歴史・経過やどのような教訓を残したか、どのような問題が残っているかなどを解説しながら、講師自身との関わり、今後に期待するものなどを講義してもらうことになっている。

「水俣学」開講にあたって、原田正純さんは《さうすウェーブ》の質問に次のように答えてくれた。

【司 加人】


◇            ◇



     ▼原田正純教授
 
足尾鉱毒事件にヒント、10年構想ようやく実現
  追求したい“何のための学問・誰のための学問”



―― 「水俣学」の発想はいつ頃からされていたのでしょうか。また開講に漕ぎつけるまでには曲折があったと思いますが。

原田正純さん
( 原田 ) この講義については、私自身は10年くらい前から足尾鉱毒事件を調べている時に考えつきましたが、今日までのお膳立ては私を学園大に招いたことも含めて、社会福祉学部の花田先生の努力によるものです。花田先生は、本学で「なぜ水俣学か」という議論を突き詰めてきた人で、古くからの水俣病支援者です。私は、いわば“模索者の道案内”のようなものです。

―― 「水俣学」の究極の狙いはどこにあり、講義を通じて学生たちにもっともアピールしたい点はどこでしょう?

( 原田 )「水俣学」の最大の狙いは、端的に言えば“何のために学問をするか”ということでしょう。もう一つは、細分化され、先鋭化され、専門化されていく中で、とくに問われている“誰のための学問なのか”ということでしょう。 そのためには、バリアフリーの学問、すなわち分野・領域・学閥・専門家と素人など既存の壁や装置を一度取り払ってみる。市民に開放された弱者の側に立つ、目的が明快な学問を模索する契機をつくる。そのための素材として「水俣」があると思っています。

―― 在学生はもちろんですが、より多くの人々に受講して欲しいとお考えと思いますが…。

( 原田 ) 日本初の大学の正規の授業です。そのために時間の制限もあり、すぐに誰でも受講できる環境になっていないのは残念ですが、これを枠組みに将来は広げていきたいと考えています。ホームページ、出版、公開講座形式なども具体的な方法として考えられましょう。


* 連絡先:
    熊本学園大学社会福祉学部福祉環境学科
    〒862−8680 熊本市大江2−5−1 TEL 096−364−5162



◇            ◇



《水俣学講義計画案(平成14年度)》
 
各日10:40−12:10

 

  月  日内           容担 当
1) 9月20日  なぜ水俣学か、本学で開講するわけ 花田昌宣
(熊本学園大学教授)
 水俣病の歴史(1)水俣病の発見から原因究明まで 原田正純
(熊本学園大学教授)
2) 9月27日 水俣病の歴史(2)胎児性水俣病の発見、新潟水俣病原田正純
(熊本学園大学教授)
3) 10月4日 チッソの企業体質と技術
  チッソ史
宇井 純
(沖縄大学教授)
4) 10月11日 チッソ労働者と水俣病
  公害病と職業病との関係
山下善寛
(元チッソ労働組合委員長)
5) 10月18日 水俣病と映像
   映像の持つ意義
桑原史成
(報道写真家)
6) 10月25日 水俣病とマスコミ
   マスコミが果たした役割と責任
高峰 武
(熊本日日新聞編集局次長)
7) 11月 8日 水俣病と法
   水俣病裁判の概要と意義
富樫貞夫
(志學館大学教授)
8) 11月15日 水俣病患者の闘い
   公害と差別
宮澤信雄
(フリージャーナリスト)
9) 11月22日 海の生態系と漁業佐藤正典
(鹿児島大学助教授)
10) 11月29日 被害者の想い
   闘いの日々
水俣病患者・家族
11) 12月 6日 世界に広がる水銀汚染
   水俣が持つ意味
原田正純
12) 12月13日 もやい直しとは
   患者の自立と水俣の再生
吉井正澄
(前水俣市長)
13) 1月10日 水俣学まとめ
   教訓をより確かなものに
原田正純



▼ 主な講演者 ▼

(講演順)

花田昌宣さん 宇井 純さん 山下善寛さん 桑原史成さん 高峰 武さん

富樫貞夫さん 宮澤信雄さん 佐藤正典さん 吉井正澄さん







↑戻る