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世界中の海のごみはますます深刻化している
しかし、行政・市民が知恵出し合えば改善は可能

●JEAN代表・小島あずささんが講演●




環境NGO「ASAP21」主催による「海のクリーンアップ−プラスチックの海 街のごみが海を汚す」 と題する講演会が2002年8月2日午後7時から、東京・青山の環境パートナーシップオフィスで開かれた。 この日の講師はクリーンアップ全国事務局(JEAN)代表の小島あずささん。広告会社のOL生活に飽きたらず、この道に入ったいきさつから話を始め、 内外の海浜に漂着しているごみやそれらが海辺や海中の動物に直接的に与えているショッキングなスライドを見せながら、概要次のような講演を行った。





小島さんの説明に立ち上がって聞き入る参加者たち
▼プラスチックの出現でごみが"変質"した
  • 昔のごみはほとんどが自然分解した。しかし、ごみの材質の変化、すなわちプラスチッ クが出現し、品質の安定とともにその利便性が人々の生活に急速に浸透した。それはそ れで我々にメリットを与えたが、大量に消費され、大量に廃棄されるに至って、大きな、 深刻な社会問題と化した。品質の安定性の高さがあだになったと言える。

  • そして、以下のような悲しむべき実例が世界中で起こっている―として、スライドによ って海外での多くの実例を紹介する。

    それらは、魚網に絡まった北オットセイ、リング状のごみが口にはさまったハワイアン モンクシール、釣り糸が絡まったペリカン、首にシックスパックホルダーが絡まったカ ナダガンや海面に浮かぶごみをついばむクロアシアホウドリ、ミッドウェイで雛にごみ を与えてしまうコアホウドリ、誤飲・誤食したプラスチックのフィルムや破片が1キ ログラムも見つかった海亀の胃袋など目をそむけたくなるようなカットの連続であった。 ゴーストフィッシュネットと言われる海を漂流する5キロもの長さを持つ流し網には 1000匹もの魚と350羽の海鳥がひっかかり、ひっかかると動けなくなるので餓死 してしまうという実例も確認されている。

    化学繊維の魚網がからまってしまった北オットセイの子ども リング状のプラスチックごみが口にはまったハワイアンモンクシール 死んだ海亀の胃に詰まっていたプラスチックの破片類
    【写真提供:JEAN/(C)オーシャンコンサーバンシー】

  • ミッドウェイ諸島付近の海域には「北西太平洋ごみベルト地帯」と呼ばれる何キロにも 及ぶごみが文字通りベルト状に連なっている。ミッドウェイでは毎年30万羽のアホウ ドリが生まれているが、その約10%のコアホウドリがプラスチックごみの犠牲になって いるという調査結果がある。

  • 以上は動物たちに対しての影響だが、実は人にも影響を与えている。 スクリューに釣糸がからまったり、海底に沈んだごみにダイバーがひっかかるなどして、 人命を奪われたりしたケースも日本で起こっている。


▼最大の元凶は今や「たばこのフィルター」
  • ごみの中でもっとも多いのはたばこのフィルターで、化学繊維のために海水などに溶解しない。喫煙は人体の健康被害ばかりが脚光を浴びているが、 吸い終わったフィルターが捨てられ、海を漂い、生物にそういう影響を与えていることはあまり知られていない事実だ。


▼日本の海岸もごみだらけ。9月22日に秋のキャンペーン
  • 海外の例ばかりを紹介してきたが、実は日本の海岸がごみだらけであることも例外で はない。毎年、同じ時期世界中でごみを集め、分類し、調査をしている運動 (秋の国際海岸クリーンアップキャンペーン)をやっているが、私たちJEANとしては、今年は9 月22日に、関東では鵠沼海岸で、関西では須磨海岸で行なう予定で準備を進めている。 より多くの方々の参加を希望している。海岸線のごみは、もはや一部のボランティアが 回収して済む時代ではなくなった。

  • アメリカで"ごみの元"を減らそうという運動が始まり、その把握調査をしたところ、 多くの国籍を持つごみが存在することが分かった。それで、アメリカだけでは防止でき ないとして、1990年から国際的に呼び掛け、メキシコ、カナダと日本(注=小島さんが 参加)が加わり、始まったのが今の国際キャンペーンだ。昨年には86カ国が参加する ようになった。


小島さんが内外の海岸から収集した漂着物には危険な医療廃棄物も・・・
▼海のごみの60〜70%は川からのもの
  • 実は、海のごみの60〜70%は川から出ていることも分かってきた。したがって、海岸だ けでなく、川のごみも一連のことであるという考えをもって、総合的な対策が必要であ ることは言うまでもない。

  • さきほども触れたが、一口に海のごみと言っても多種多様だ。プラスチックがもっとも 多いと思われがちだが、たばこのフィルターが断然トップで、2−3位がプラスチックだ。 これらは破片ごみになるので余計始末が悪い。さらには医療廃棄物も目立つ。量的に は少ないが、危険度が高い。


▼状況改善には現場の労働性や専門家の知恵を生かす必要
  • 悲観的な話しだけでなく、関係者の工夫と努力によって改善された例を紹介したい。 広島県の包が浦(つつみがうら)というカキの養殖地での実際例だが、海岸のごみに発 泡スチロールが多いということで地元の環境NGOから相談を受けた。調べた結果、カキ の養殖イカダのウキに使った発泡スチロールが砕けたものとであることが分り、環境省、 水産庁、県、漁業組合、業界団体などの関係者に集まってもらい、意見交換した。そし て、プラスチックの業界の専門家から「発泡スチロールをこの用途に使うのは不適当」 との指摘がなされ、それでは砕けにくいもの、硬質のフロートが開発され、それらは発 泡スチロールに比べ割高ではあるが、結果的にはごみの減少に大きく役立った。 このケースは、改善・解決のためには現場の労働性も考えないといけないという教訓と 言って良い。

  • 神戸の須磨海岸は湘南海岸と人出が多いとか良く似た状況にあるが、ある時、たばこメ ーカーが新製品のサンプルを大量に無償配布した。しかし、人間心理として、無料でも らったものは気に入らなければすぐ捨ててしまう。それで、JTに申し入れたところ協力 してくれ、結果的には完全ではなかったがかなり効果があった。

  • 最後に、丹後半島の網野町にある琴引浜というところは「鳴り砂(泣き砂)」で全国的 に有名なところだが、観光地として宣伝すればするほど訪れる人が増え、結果、たばこ の灰が砂にまざるだけで砂が鳴かなくなることが市民運動で分かった。それで、行政と 市民が相談してチラシを作ったり、看板を設置したりして、禁煙ゾーンと喫煙ゾーンを 設けて、観光客に理解と協力を求めた。2年間その運動を続けた後、町は禁煙条例に踏 み切った。その効果は目を見張るものがあった。

  • これらの例は他にも多くあるが、要はきちんと理由を説明して、協力を呼び掛け、より 多くの市民の協力を得ることによって改善できる余地は日本中にあるということではな いか。その意味で、今後もクリーンキャンペーンはより多くの人たちの参加を得て継続 していきたいと考えている。




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