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第11回田尻賞授賞式

大鵬薬品労組、韓国・源進職業病管理組合の2団体
 
藤田元木頭村長、唐木元中日新聞記者の2人に授与





“公害Gメン”の名で知られる故田尻宗昭さんの活動の精神を伝えようと創設された田尻賞記念基金の第11回授賞式が7月7日午後1時半から、東京・四谷の主婦会館で行なわれ、韓国の源進(ウォンジン)職業病管理組合、大鵬薬品工業労働組合の2団体と藤田恵・元木頭村長、唐木清志・元中日新聞記者(故人)の2個人が受賞した。





講演する北野静雄さん
この日、受賞に先だって、鈴木武夫世話人代表が「10回を過ぎて一定の役割を果たしたのではないかという議論もされたが、世の中まだ“田尻さん”が必要だということになり、若干装いを改めながら、田尻さんの精神を受け継ぎ、地道な努力・活動をしている人や団体にスポットを当てようという考えで一致した。今回は12の課題が残り、最終的に4つを選んだ」とあいさつ。続いて2団体と2人に授与された。

これを受けて、各受賞者がそれぞれ受賞の喜びや感想を述べ、北野静雄さん(大鵬薬品工業労働組合元委員長)はスライドを使って、同組合の活動の足跡を当時マスメディアで報道された記事などを引用しながら講演した。

そして、最後に世話人の一人、原田正純さん(熊本学園大学教授)が「今回の受賞者は公私両面で感慨が深い。韓国の源進では日本の教訓がまったく活かされていないことを改めて痛感した。その機械がさらに中国へ再輸出されていると聞き、さらなる害が生じない事を祈るばかりだ。大鵬労組の北野さんや木頭村の藤田さんのような人があと日本に100人いたら、エイズも薬害も起こらなかっただろうし、日本中の無用なダム造られなかっただろう。唐木さんに至ってはその執念はものすごく、水俣病事件で精力的に取材をしていた姿が今でも鮮烈な思い出になっている」とまとめのあいさつを行なった後、受賞式を終了、懇親会に移った。





今回の受賞者・団体とその業績は概要次の通り。


CO中毒事件通じ韓国に「職業病」の認識を定着させる

《源進職業病管理財団》=朴賢緒理事長・元漢陽大学教授

表彰を受ける韓国・源進職業病管理財団

  • 源進レーヨンの二硫化炭素中毒事件は、大量の被災者を発生させ、韓国における職業病を社会問題 化させ、日本の三井三池炭鉱炭じん爆発−CO中毒事件を彷彿とさせる。源進のCO中毒患者は、1981 年の第1号認定から2002年5月までに895人(三井三池の労災認定者数は839人)で、うち56人 が死亡している。大量の被災者を生み出したプラントは、戦後賠償の一環として日本から東レ・滋  賀工場の廃棄施設が輸出されたもので、このプラントはさらに中国へ再輸出され、遼寧省丹東市で  今も稼働しているという。

  • 源進の被災者・家族・労働者らは様々な運動を展開しつつ、韓国社会に職業病問題を定着させ、働  く者の命と健康を守る取組みを促進させる役割を果たしてきた。会社は93年に閉鎖に追い込まれ、 長期にわたる政・労・使の協議の結果、破産管財人や産業銀行等の出資により基金を設け、その管 理機関として「源進職業病管理財団」が93年11月に設立され、同財団は99年に緑色病院(グリ ーン・ホスピタル)、労働環境健康研究所、福祉館の3施設で構成される「職業病総合センター」 を開設、様々な安全衛生・環境問題・地域医療に貢献し、韓国内や対外的に重要な役割を果たして いる。

    * 連絡先:韓国・京畿道九里市仁倉洞576−10 成林商街2F TEL +82−31−552−4534


製薬会社労組として新薬の安全性・情報の開示など会社から勝ち取る

《大鵬薬品工業労働組合》=四宮充晋委員長

表彰を受ける大鵬薬品工業労組

  • 同労働組合は、1981年10月、研究者を中心にに結成された。製薬会社でありながら、安全性の問 題を指摘する者の言論が抑制され、発ガン性が疑われるデータが隠されたまま新薬が販売されたこ とに危機感を持ったためだ。

  • 毎日新聞社の調査・報道により非ステロイド系消炎・鎮痛・解熱剤(商品名「ダニロン」)が社会 問題化、会社は販売断念に追い込まれ、当時の厚生省も薬事法施行規則の改正を迫られ、企業にと って不都合なデータも提出する義務が課される契機となった。

  • しかし、会社の逆恨み的報復はすさまじく、組合無視、脱退強要、配転、出張。隔離勤務、昇給・ 昇格差別、懲戒処分、さらには暴力事件などなりふり構わぬ組合潰し攻撃により、当初80名いた 組合員は一挙に8名に減り、多数の法廷闘争を抱える状況に追い込まれた。それにもかかわらず、 組合は新たに安全性に疑問がもたれてきた避妊薬(同「マイルーラ」)の安全性確認にも取り組み、 11年にわたる労使紛争は最終的に1992年5月に、すべての組合差別の是正だけでなく、自社製品 にまつわる問題についても労使の話し合いの場を持つことを含めた和解協定を締結、解決した。

  • 現在、組合員は31名に戻っているが、引き続き「自らの手で薬害を出さない」という組合の信念 は、労働条件の問題とともに、自社製品の安全確保と薬害、医療被害者の支援や啓発運動などの形 で継続され、さらに合成洗剤追放運動や徳島県内の吉野川可動堰などの環境運動にも参加、活動を 展開している。

    * 連絡先:〒771-0194 徳島市川内町平石夷野224−2 大鵬薬品工業気付 TEL 088-665-5866


人口2000人の村が国のダム計画を中止させる

《藤田恵・元徳島県木頭村長》

表彰を受ける木頭村元村長・藤田さん

  • NTT職員だった藤田恵さんが急きょ村長選挙に担ぎ出されたのは1993年3月。当時の建設省が村 の中心部に建設を画策していた「細川内(ほそごうち)ダム計画」をめぐって、村長が反対住民と 賛成派の板ばさみになって悩んで行方不明になったため、村長選挙に推され、同年4月就任し、2 期目の2000年11月に「細川内ダム計画」の完全中止を勝ち取った。人口2000人足らずの小さな 村が国のダム計画開発を中止させたのは、日本の行政史上でも初めてで、地方分権や公共事業見直 しのモデルケースとも言える。

    * 連絡先:〒779−2305 徳島県海部郡日和佐町西84−5
           TEL 0884−77−1008


転勤ごとに起こる環境問題を徹底して取材し、全国的に報道する

《唐木清志・元中日新聞記者(故人)》

表彰を受ける中日新聞元記者・唐木夫人

  • 唐木さんは1967年に中日新聞社に入社以来、一貫して環境問題に取組み、転勤のたびに様々な環 境問題に遭遇、それらを徹底して取り上げ、全国的な話題にした。長野支局時代の諏訪湖の重金属 汚染問題、名古屋社会部時代の岐阜県・徳山ダム問題、長良川決壊問題、矢作川水質汚染問題、愛 知県・海部津島のゴミ戦争事件、長野・駒ヶ岳アセスメント問題、大津支局時代の琵琶湖汚染問題、 富栄養化防止条例、淀川汚染問題、川崎支局時代の川崎公害訴訟、横浜支局時代の池子米軍家族住 宅計画まどがそれだ。

  • 唐木記者は独自の幅広い人のネットワークを築き、徹底的に食らいつき、自らの目で確かめる取材姿勢を崩さず、常に住民や被害者、弱者の視点に立っていた。残念なことに、本年3月30日、67歳で急逝された。

    * 連絡先:〒236−0006 横浜市港南区芹が谷1−9 TEL 045−825−1150



* 田尻宗昭記念基金
   〒136−0071 東京都江東区亀戸7−10−1 Zビル5階
   TEL 03−3636−3882 FAX 03−3636−3881





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