《北京WSに出席して》 bQ
北京ワークショップに出席して、どのような感想を抱いたのか、コメントをお願いしたところ、4人の方から回答をいただいた。回答順にご紹介する。
| 設 問 内 容 |
| Q1: |
開催前にもっていたイメージに比べ、開催後振り返ってどのような感想を持ちましたか? |
| Q2: |
今WS中で、もっとも印象に残ったこと(報告、現地調査、懇親会、その他)は何でしたか? |
| Q3: |
今回のやりとりを踏まえて、今後、日中間で出来ること、やるべきことは何だとお考えでしょうか? |
| Q4: |
その他一般で感じられたことがありましたら、お聞かせ下さい。 |
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西村隆雄さん (弁護士・全国公害弁護団連絡会議事務局長)
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中国の変革を予感し、その暁の日中交流に大きな期待
- 中国訪問は、今回のWSが初めての機会であった。
- 日本側の弁護士・被害者からは、四大公害裁判をはじめとして、わが国では、被害者が前面に立って大量に立ち上がって、集団訴訟を提起し、裁判を支援する運動も盛りあげて裁判勝利をかちとってきたこと。勝利判決をテコに、さらに広範な運動を積上げて、被害者救済、公害根絶に向けた制度づくりを行ってきたことが強調された。
- これに対しWSが進むにつれ、中国の実情がよくわかってきて、前提問題に大きなへだたりがあることがわかった。すなわち中国では、そもそも公害被害者が多数で団結して集団提訴することが困難な状況にある。
まず政治的な事情によるところが大きいようであるが、これに加えて、石炭貯蔵所からの煤塵、騒音に悩む住民27戸77名が連名で提訴した事例では、区人民法院は、集団訴訟の採用を拒絶し、これを27の個別訴訟に分断したとのことであり、その理由が裁判官個人の収入とする訴訟費用を稼ぐためと紹介されたのには、唖然とした。
- これに加えて、裁判の行方が、双方の積んだワイロの多寡で決せられるとの発言、さらには高級人民法院の現役裁判官の発言(裁判官が全人代−国会で任命されるため、地方の経済発展を優先する傾向があり、公害・環境訴訟にとって困難な状況があり、今後、公正な組織づくりが必要)に、中国のかかえる司法制度自体の厳しい現実を思い知らされた。
- しかし逆にいえば、こうした点が浮きぼりになる率直な議論が展開できるところまで民主化が進んできており、その克服へのエネルギーをひしひしと感じることができた。今後さらに急速に進むであろう変革の予感を感じつつ、その場合の日中の交流の意義が非常に大きいことを実感できた。
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谷 洋一さん (アジアと水俣を結ぶ会事務局長)
- まずは第一歩踏み出した。今後は被害現場での開催も
- A1:
- 被害者の声をこのようなセミナーに反映させることができるのか不安に思っていたが、被害者から研究者、行政担当者、
全人代委員まで幅広い参加の中で公害問題の解決を議論できたことは大きな意味のある会合であったと思う。深刻化する中国の公害解決にどう対処できるか課題は多いがまずは第一歩が始まったのだという気がした。
- A2:
- 来賓で参加した江小珂全人代環境保護委員会委員が開会式終了後も会場に残り被害者の発表に一生懸命メモをとっている姿に感銘を覚えた。王燦発先生らの公害被害者法律援助センターの活動も大変参考になると共にこのような活動が可能になった中国の変化を実感することが出来た。
- A3:
- このような会議を継続させつつ、現地調査なども踏まえ、中国と日本の制度上の違い、文化などの違いを踏まえた公害解決のための具体的行動が必要であると思う。水俣でも中国・松花江の水銀汚染に焦点をあて、調査協力や実態解明、被害者救済に取り組んでいきたい。
- A4:
- 今回は初回でもあり、北京・友誼飯店というきわめて快適な場所での開催であったが、被害の現場近くや地方都市などでの開催を考えてはどうだろうか?
快適さではなく、多少の不便さも享受しつつ、被害の現場にたって公害問題解決への努力がされていく必要があると思う。
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大塚 健司 さん(アジア経済研究所)
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準備段階での予想をはるかに上回る規模と内容に感慨
- A1:
- 3年前、北京駐在中に相川さんと2人で王先生とお会いしたのですが、そのときはまだセンターは設立されておらず、ただ公害被害者への法律援助を行うNGOをまもなくスタートする予定であるということでした。話をするうちに意気投合し、日本の研究者との交流をご希望でしたので、日本環境会議がいいのではと言ったところ、それならその先生方を呼んで国際会議を北京でやろうと、ついては私たち2人のがんばりを期待したい、というような話になりました。初対面でしかもまだセンター活動自体まだ正式に始まっていない段階でしたので、普通なら頭の隅においておくだけのところですが、王先生の具体的な環境紛争の話や環境問題に対する見方などを聞いているうちにこれなら現場重視の日本環境会議の先生方も乗っていただけるのではないかと勝手に想像し、ではやりましょう、というお返事をしたのが始まりでした。それから帰国後、淡路先生と寺西先生に相談したところ、資金集めなどのいくつかクリアしなければならない重大な問題を指摘されましたが、ともかくも日本環境会議のプロジェクトとしてスタートすることを支持していただき、WS準備事務局として今回の会議にかかわることになった次第です。
まずは、日本環境会議の大会へ王先生を招聘しようということで、その手配をしました。王先生はこのときの来日で日本環境会議の大会や公害弁護士連合会の総会に集まられたいろいろな方々と交流したことによって、日本側の雰囲気ややり方をかなり身をもって感じられたようでした。また、同じ年の秋から、私の所属する研究所で、王先生のセンターと共同研究をする機会にめぐまれ、今年の2月には研究所でワークショップを開き
(そこには今回WS参加者の礒野先生、片岡先生、林さんにもご参加いただきました)、またフィールドトリップでは公害等調整委員会を訪問したり、電磁波公害の電話相談への対応を探るためにガウスネットを訪問したり、さらには同僚のつてで新潟水俣病事件の現場を2泊3日で訪れ、旗野さんと患者のみなさん、斉藤先生、板東弁護士など現地でみなさんたちとの交流も持ちました。こうして、今回の会議に臨んだわけですので、多少日中間で認識ギャップや行き違いがあっても、なんとかなるという思いがありました。おそらく私だけでなく、王先生もそうだったのではないでしょうか。もちろん準備段階で何度か行き違いはありましたが、メールでの頻繁な連絡と相川さんの現地での連絡調整のおかげでそれも最小限に抑えることができたのではないでしょうか(相川さんは最前線にたたされて大変でしたでしょうが)。
実際、会議が始まると、あとは会議に参加された日中双方のみなさんの熱意でどんどん前に進んでいったということを強く感じました。これは最初から準備にかかわってきた1人として大変うれしいことでした。こんなに大きな会議になるとは私のみならず王先生も思いもしなかったところです。いろいろ課題は残っていますが、ともかくも打てば響くようなプロジェクトになって本当によかったと思っています。
- A2:
- 報告内容や現地調査などについてはまた別にまとめる機会がありますので、ここでは、今回WSでとても重要な役回りをされた通訳のことをあげておきたいと思います。実は、今回WSを企画するにあたり、王先生は最初、同時通訳を主張されていました。しかし、私がいくつかの日中会議や国際会議に参加した経験からして、講演内容の通訳はうまくできたとしても、だんだん会議が白熱してきて、双方向のコミュニケーションが中心になってきますと、いくらプロでも同時通訳はとても間に合わなくなると危惧していました。そこで、逐次通訳を提案したわけです。逆に、時間的な制約が厳しくなったという点や、会議自体が冗漫な感じになってしまった点はみなさんに大変申し訳なく思いますが、それでもこうしてよかったと思っています。特に、今回、つくづく感じたのは、通訳のひとの「顔」が見えたということです。始終ブースに入っている同時通訳であれば顔は見えません。今回引き受けてくださった傅さん、大槻さんはともに大活躍してくださったのですが、その活躍ぶりを見るにつれ、それぞれの味が見えてきたような気がします。
最後の方では座長に加えて通訳の方も会議を仕切っているように見えたのは私だけでしょうか(笑)?
- A3:
- 日本人が中国の環境問題に関わっていくときに、よく「中国の環境問題を放置しておけば日本ないしは地球全体が深刻な影響を与えるから」ということが言われます。しかし、今、中国の環境問題が今回のWSのように中国国内の人々の関心をひきつけるのは、そういう理由よりも、むしろ、このままでは自分たちの国土や生活・健康が危ういと思うようになったからではないかと思います。それに、中国の環境問題を解決するには、つきつめていくと、やはり中国に住む人々が中心にやらなければならないわけですから、やはり中国で環境問題がどうとらえられているのか、ということをまず日本の側が理解することが第一歩だと思います。とくに、今回のような公害紛争処理や公害被害救済というテーマでは、この点は非常に重要だと思います。もちろん、それには双方向の情報交換・交流が欠かせません。その上で、問題意識を共通にする人々が集まる場をどんどん作っていく、ということが大切だと考えています。
- A4:
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今回のWSは王先生の熱意と王先生のセンターのスタッフのかたがたの並ならぬ努力があってこそ実現したと感じています。そうしたエネルギーをセンターがこれからも持続させていくことを強く希望しながら、また私たちも日本からなんらかの形でサポートをしていきたいと思っています。
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桜井 次郎 さん(名古屋大学大学院博士課程)
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環境紛争の現場で被害者や村長に会えたことに中国への期待もった
- A1:
- 開催前は、中国において環境汚染被害者も出席するような国際会議がこの時期に開催できるということに、まず驚きを感じた。このような国際会議を開きたいという話は、3年前に王燦発教授にお会いした時から聞いていたが、こんなに早く実現できるとは正直思っていなかった。WSの会議内容については事前のイメージと大差はないが、今回はこのような会議を開けたことに意義があるのではないかと思う。
- A2:
- 今回のWSで事前に予想していなかったのは、現地調査において、騒音被害者に理解を示す村民委員会主任(村長)や地方党組織の幹部と外国人調査団であるわれわれが会い、直接意見を交わすことができたということだ。文化大革命時代は勿論、改革開放以後もこのような外国の訪問団が被害者やその支援者に直接会い、詳しい状況説明を受けるということは相当困難であったと思われる。中国の社会制度には汚染被害者にとって不利な要素が多々あるように思われるが、そのような現実も今後徐々に変わりうるのかもしれないという期待を抱かせられた。
- A3:
- 日本で公害裁判を経験された汚染被害者やその支援者の方々と、中国の汚染被害者や環境法学者、環境政策担当者との交流を増やすことが必要だと思われる。中国の環境政策には、現地の自然環境に最も依存して生きている人々の意見を尊重するという視点が欠けているように思う。環境法学者の研究は、外国の法制度の研究に偏っており、自国の汚染被害者のための実態調査や現状分析は遅れている。このような現状を外からの働きかけで変えるのは非常に困難かもしれないが、そういったところにこそ、公害先進国として日本の国際協力が必要とされているのだと思う。
- A4:
- ここ数年の北京の発展には目を見張るものがある。北京にとどまらず、中国の都市部の発展には勢いを感じるところが多いが、地方の特に内陸農村の風景は、私が見る限りあまり変わっていないように感じる。環境政策においても、都市部の環境汚染型企業を郊外へ移転させる措置がとられており、今後は農村における水環境や大気環境の悪化が問題になるのでは、と感じている。
また、このような会議における通訳というのは非常に難しいな、と感じました。
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