swave logo (←home)
cover




「水俣病事件」関西訴訟特集 U


国・県が上告。原告団・関係者一様に「暴挙」と怒る


多くの関係者が評価していた水俣病関西訴訟に対する大阪高裁の4月27日の判決に対し、国と熊本県は5月11日、 「国に賠償責任があるという今回の判決は、法律の解釈・適用の点から納得できない」として、法務省を通じて上告手続きを取った。 また、「メチル水銀中毒症の認定においても(医学界の)定説と異なる判断で、水俣病の認定基準を変えることは考えない」とも言明した。

原因企業のチッソは11日、「95年の全面解決の際に唯一取り残された訴訟だが、当時示した“早期解決を目指す”との同じ考え方に立ち、 今回は上告しない」(後藤舜吉社長)旨、発表した。

これに対し、原告側は同日、「国は自らの責任を認めたくないということを露骨に示した」(松本健男弁護団長)、 「結局は、行政は一般国民を虫けらとしか思っていないということだ」(岩本章原告団副団長)と一様に反発、激しい怒りをあらわにし、 抗議声明を出し、各地の支援グループも呼応して強い要望を織り込んだ声明を発表した。

ただ"メンツ"にこだわったとしか言い様のない今回の国・県の最高裁への上告により19年あまり続いたこの訴訟はさらに長引くことになり、 患者たちが平均年齢70歳という揃って高齢なことから、ゆくゆくは人道上の問題にもなりかねず、「新たな加害行為につながる」 (宮澤信雄氏)し、さらには裁判の経過次第では科学的・医学的面でも国・県の主張は根本的に崩される公算が大きく (津田敏秀岡山大学医学部衛生学教室講師)、その点からも「さらにこの事件史に汚点を重ねることになる」(原田正純熊本学園大学教授)と言え、 国際的にもいっそう"公害後進国"視されることになるとともに、 20世紀の負の遺産をなお臆面もなく引きずって行くことになりそうだ。

訴訟団の抗議声明と支援グループの声明の要旨を紹介するとともに、「国・県が上告」との報を聞いて、研究者として長年、 陰に陽に水俣病事件に関わってきた原田正純・熊本学園大学教授と宇井純沖縄大学教授に話してもらった。          

【司 加人】