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 −「水俣病事件」関西訴訟特集 I−

(5) 訴訟団、環境大臣などに「上告するな」と交渉

環境大臣:「裁判の長期化望まない。 法務省と検討中」
 チッソ:社長は"所用"で現われず「趣旨は伝える」



国・県・チッソに上告しないよう求めて、水俣病関西訴訟団は5月8日上京、精力的に行動した。

原告団、弁護団、支援グループなどで構成する関西訴訟団一行24名は7日午後2時30分、チッソ東京本社を訪れた。
チッソでは後藤瞬吉社長が「よんどころない所用」のため不在とのことで、寺園成信専務らと約3時間にわたり交渉した。訴訟団側の(1)水俣病を起こしたことへの謝罪。(2)さきの大阪高裁判決に従うべきだ。(3)仮執行した賠償金の返還請求をしない−などを申し入れたのに対し、チッソ側は「水俣病を起こしたことは申し訳ないと思っている。趣旨は理解した。社長に伝える」という答えに終始した。

訴訟団の応援にかけつけ、川口大臣と握手する辻本議員(左)
訴訟団の応援にかけつけ、川口大臣と握手する辻本議員(左)
「上告するな」の要請書を川口環境大臣に手渡す川上原告団長(左)
「上告するな」の要請書を川口環境大臣に手渡す川上原告団長(左)
一夜明けた8日午前10時、環境省を訪れた。訴訟団には辻本清美議員(社民党)が応援にかけつけ、環境省側は川口順子大臣が約10分間ではあったが、交渉の席に着いた。
交渉は、川上敏行団長が「これ以上事態を長引かせるな。上告はしないことを強く要望する」旨の声明文を読み上げ、川口大臣に手渡した。
これを受けて川口大臣は「原告の方々と初めてお会いしたが、みなさん高齢で、このような状況になっていることをお気の毒に思っている。すでに訴訟は19年経過しているが、このようなことが続くのはよくないと思っている。ただ、上告については、判決を子細に検討しており、法務省などとも相談しているので、現在は検討中としか申し上げられない」と述べ、10分間で引き揚げた。

その後、途中から出席した岩尾總一郎環境保険部長らに対し、訴訟団側から様々なアピールや質問が出されたが、環境省側は責任論についても認定基準についても踏み出した回答をせず、ほとんどが訴訟団側からの一方的な発言や問題指摘、糾弾に終始した。患者の坂本美代子さんが「私たちは断腸の思いで上告はしないことにした。そのことをどう考えるか。ただ、このまま死ねというのか」と迫る場面もあったが、直接的な答えはなかった。今後もこの種の交渉を継続することを確認して、正午に交渉を打ち切った。

訴訟団は同日午後、法務省も訪れ、同様の申し入れを行った後、9日、潮谷義子熊本県知事と面会、同趣旨の交渉を行うため空路、熊本へ向かった。




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