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 −「水俣病事件」関西訴訟特集 I−

(3)東京で報告集会:「国・県・チッソよ上告するな」を決議

チッソ・環境省などへの抗議で幅広い協力求める




東京・水俣病を告発する会は5月1日午後6時から、東京・文京区民センターで「判決報告東京集会」を開き、参加者全員一致で「国や熊本県、チッソは大阪高裁の判決に従い、上告すべきではない」旨の緊急アピールを採択した。また、同会は上告の猶予期間5月11日まで、多方面にメッセージを送ることや、7、8の両日は東京で、9日は熊本で環境省などと交渉することと、これらに対して多くの人たちのメール、電話、Faxなどによるサポートを呼びかけている。


この日の報告集会には土本典昭映画監督、桑原史成カメラマンや支援関係者、一般市民など約100名が参加した。
冒頭、この日が水俣病公式発生の日にあたることもあって、亡くなった患者さんたちに対し全員で黙祷をした後、関西訴訟に20年関わってきたという西口徹弁護士の判決分析から本論に入った。各氏の話の概要は次の通り。


評価したい「市民感覚に沿った判決」


〈西口徹弁護士〉
水俣・佐伯展
「市民感覚の判決だった」と評価した西口弁護士(壇上)
今回の大阪高裁の判決は、文章的には難解な部分もあるが、判決そのものは一口で言えば「市民感覚に合った判決」と言って良い。 その第1が1959年当時、すでに危機的状況であり、国は多少の問題があっても水質二法の適用を考えるべきであり、工場からの排水は止めるべきだと考えるのが普通だ。法の適用によって過剰規制になっても仕方がない。それより国民の生命・身体を守る方が重要だ、という「国の怠慢」に対する指摘がまず上げられる。 次に、熊本県に対しても「漁業調整規則」は、その目的は水産資源の保護にあるが、前代未聞の事故が起こっていたのだから適用しなかったことは怠慢だと、一審などの「目的が違うから適用できない」との判決をひるがえした点にある。 また、水俣病の「判断基準」については、従来の末端神経説を排し、中枢説を採用した点も特徴で、1952年の水俣病の判断基準は基準にならないことを実質的に示したものといえる。 ただ、疫学上の見解については触れられなかったのは残念だった。 このように、責任論では明確にし、判断基準では感覚障害だけで水俣病患者と認めるという、基本的に原告の主張が通った判決であった。しかし、一方で賠償額は低く、この点の壁は厚かった。 国・県・チッソはこの判決に誠実に従うべきだと考える。 




水俣の経験を人類の財産にするなら上告すべきではない

〈庄野昭博さん・関西訴訟を支える会を代表して〉
基本的に勝てたことにまず御礼を申し上げたい。思い起こせば昨年10月1日、東京でも支援する会をもってもらい、そこで起こった署名運動が瞬く間に4万を超えた。これらをはじめとする多くの力が今回の判決を勝ち取ったと言える。長い闘いを続ける成果が少しは通じる世の中になってきたと思うし、"継続は力なり"を改めて感じた。 判決が出された瞬間はわが耳を疑った。 しかし、2名は棄却され、11名は減額された。両手を上げて喜べない。水俣の経験を人類の財産とするにはこの判決を確定することだと考え、気を引き締め、全力をあげて国・県・チッソに対応していきたい。




心から御礼申し上げる

〈川上敏行原告団長〉
19年あまり闘ってきた。心から御礼申し上げる。 今後は熊本(県)と東京(環境省、チッソ本社)と行動範囲が広がるのでエネルギーが続くか心配だが、引き続き頑張りたい。




上告は"新たな加害行為"だ

〈宮澤信雄さん・『水俣病事件40年』の著者〉
この判決の持つ意味のいくつかの点を話したい。

 第1に、19年闘ってきて良かったとの思いがしている。というのは、95年のいわゆる政治決着は二つのマイナスがあった。国・県の責任はないとした点と、水俣病ではないという前提で解決金が支払われた点だ。
水俣・佐伯展
「上告は新たな加害行為だ」と熱を込めて語る宮澤信雄さん
 第2に、行政責任についてだ。熊大は科学的には正しかった。「59年11月末には被害は知り得た」と明確に認定し、緊急事態だったのだから「ある種の有機水銀」でも規制すべきだったと断じたこの判決は「その気になれば(手は)講じ得た」ということであり、測定方法も「総水銀」でいいではないかということで、終始「原因が究明されなければ責任はない」と言ってきた国やチッソの姿勢は薬害エイズ問題とまったく同じだ。
 第3に、水質二法の適用はその気があれば1、2ヵ月でできたはずで、60年1月以降、規制しなかったのは過失責任があり、賠償すべきだ。
 第4に、今回の判決は「水俣病の医学の誤りをはっきりと断じた」ということだ。60年で終わったとして、排水規制をさぼる一方で、認定制度を作ったのは患者救済ではなく、チッソ救済だったのだ。(患者だと)名乗りにくいことを知っていて呼びかけなかった。
 第5に、熊大は60年以降、今日まで一度も現地調査を行っていない。汚染を受けていない所も調べて比べる必要があったのにまったくやっていない。臨床も病理も…。

最後に、もし上告するとすれば、それは"新たな加害行為"だ、と声を大にして言いたい。環境大臣も熊本県知事も有能な女性だ。彼女たちは官僚に言うべきだ。「国の根幹とは人の命を大事にすることだ。上告はしない」と。






水俣・佐伯展
お得意の相撲甚句に感慨を込め熱唱する川上原告団長
続いて、支援のため来場した川崎在住の患者・大村トミエさん、「水俣」を子供たちに伝えるネットワークの田嶋いづみさんらがそれぞれあいさつし、 さらに、いいだももさん・石牟礼道子さん・色川大吉さん・宇井純さん・原田正純さん・松井やよりさんら106名(4月30日現在)連名の「被告チッソ・国・熊本県は上告を断念し、原告に謝罪して誠意ある賠償を行うよう求めます」との5/1水俣病関西訴訟アピールに全員が賛同し、チッソ社長、環境大臣、熊本県知事宛に提出することを決めた。

そして、事務局からハガキ、メール、電話、Faxによって「上告するな」のメッセージを下記宛て送ることへの協力要請が行われた後、川上原告団長が現在の心境を託した相撲甚句を披露して、午後9時散会した。



〈メッセージ送付先〉
チッソ=Tel 03−3284−8411 Fax 03−3284−8412
環境大臣http://www.env.go.jp/moe-mail.html Tel 03−3581−3351
熊本県知事http://www.pref.kumamoto.jp/governor/links/mail.html Tel 096−383−1111

*チッソ水俣病関西訴訟を支える会
〒553−0014 大阪市東淀川区豊新5−12−40−206 デイゴの会気付
Tel 06−6328−4550 Fax 06−6328−0937

*東京・水俣病を告発する会
〒113−0024 東京都文京区西片1−17−4 ハイツ西片202
Tel・Fax 03−3814−5639 




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