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第1回「沖縄」と「環境」を考えるセミナー講演録
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《 良い環境とは−沖縄と12年共生して 》 沖縄大学 法経学部教授 宇井 純氏



30年前のオランダでの経験

30年前にオランダに行った時のことです。そこで老エンジニアに教わった下水の処理というのは、 下水を2日溝にためて、水の一角に鉄のブラッシュを入れてモーターでかき回す。日本ではうなぎの水車を イメージしていただければよいのですが、かき回すと時間の経過とともに水を浄化する活性汚泥、 まあ味噌汁の味噌みたいな泥が増えてきます。1日に何回か止めると、泥は水よりわずかに重いので下に 沈み、上にきれいな上澄みが出来ますので、これを抜き出す。また運転を開始して新しい下水を入れる。 つまり、1日毎に止めて抜き出して、また新しい下水を入れるというやり方を回分式といいます。普通の 浄化槽なんかは連続で水が入ってきて連続で出ますから連続式ですが、回分式は1回毎に止めて抜き出す ことが特徴です。また、溝は、最初は多少漏りますが、だんだん泥が詰まりますので素掘りでいいわけです。

こういう方法を教わってデータを取って帰ってきたのですが、この方法はいま日本でもはやっています。 その時、そのエンジニアのところに日本から大勢のエンジニアが団体で見学に来る。1時間くらい説明して いよいよ肝心な所に入ろうとすると、日本人はみな時計を見ながらそわそわする。次の予定があるからと いって帰ってしまう。実は、私はそんなこと知りませんので、半年ほど勉強させてくれとと頼んだのですが 「お前は随分変わった人間だな。俺の所に2日以上いたいといった最初の日本人だ」(笑い)。そして 「日本人というのはよっぽど頭が良くて、俺が17年かかってたどり着いた結論を1時間で解るのか、それとも 全然解ってないのかどっちだろう」というので、すっかり恐れ入って、半年そこで腰を据えて勉強させて もらったのですが、変化はのろいのでしょっちゅうデータをとっても全然変わらない。先生は週1回 (データを)とればいい、あとはその辺で寝て考えてろというので、日向に寝転んで考えていたんですが、 本当に簡単だが、ちゃんと水はきれいになる。ヒマさえかければ有機物のBODも95%、窒素も90%くらい取れる。 なにもしないで取れるわけです。

で、6ヵ月たってソロソロ日本に帰っていいかと聞くと「半分くらい解った ようだからいいだろう。ところで、日本の会社がこの特許を買ってなにか作ったようだが、なんともいって こない。うまく稼動しているのか帰ったら調べてくれ」というので早速その会社を訪ねたら、その会社は 「このプロセスは買って損した」というんですね。どうしてかというと「池が一つ、溝が一つであまりに 簡単すぎてお金がとれない。それで沈澱池とポンプを付けてやっとお金がとれるようになりました。 これは大変ばかばかしい買い物でした」というのです。せっかくBODも窒素もとれる回分式をわざわざ連続式 にして金ものをつけてそれで金をとろうという性格のあさましさに腹が立ちました。実は、こっちの方が 下水道事業団の標準設計になっておりまして、みんな沈澱池とポンプが付いているのです。さらに、下水を 2日も3日も置いといたら臭くなるだろうからとこれにふたをする。もちろん本体は鉄筋コンクリートで がちがちに固めたもので、さらに上屋までかけて、それに赤瓦をのっけたりするものだからものすごい金を かけたものになるわけです。で、この前、石垣市の川平で立派なものが出来たというので見学に行ったら、 1日500dの下水を処理するのに7億円かけたということでした。私が見て感じたのは、オレがやったらどう 見積もっても1000万円までいかないということでした。70倍の差がある。池を一つ素掘りで作るのなら、 どう見ても川平の下水処理場は数百万円で出来る。逆に1000万円までもっていくのに骨が折れると感じました。

水処理とはこんなもんでありまして、つまり金をかけようと思えば7億でもかけられるし、節約しようと思え ば1000万円もかからない。それでどっちがうまく動くかといったら安い方が多分うまく動きます。たくさん 機械をつければ必ず故障しますから、なるべく余計なことをするなということになるのです。 技術とはこんなものです。すべてがそうだとはいいませんが、少なくとも水処理技術というものはそういうもので、これだけではいくらなんでも給料を他の人より余計くれとはいえないので、いろいろ理屈を付けて難しくしているというのが現状です。こういうことはやってみなければ解らないんですね。10人が10人、下水を溜めてんだから臭いはずだといいます。現場に連れてって、どうだ臭うかというと、臭くないけどどこかおかしい。薬品でも入れて誤魔化しているんだろうと必ずいいます。 大量の微生物が腹を空かせて待ってますから、餌(下水)が入ってきても瞬く間に食ってしまうので、臭うひまがないんですね。水を長いことどっかで溜めているから腐って臭うんで、腐らせないうちに処理してしまえば匂うひまがないわけです。ただ、いままでやってみなかっただけということなんです。




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