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第1回「沖縄」と「環境」を考えるセミナー講演録
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インターネットが沖縄を変える 厚生省国立医薬品食品衛生研究所 神沼 二真氏



はじめに

 私は現在厚生省の研究機関に勤務していますが、もともとの専門は医学や薬学ではありません。むしろ、情報学が専門です。もう少し詳しく言うと、人間並の高度な知能をもったコンピュータをつくることに興味をもっています。一般の方々には、人工知能の研究と言ったほうが分かりやすいかもしれません。ただその応用分野として選んだのが、たまたま生物医学、医療、毒性学、医薬品の開発、そして環境問題だったというわけです。そこで今日は、本来の情報学や情報技術の専門家の一人として、情報技術が沖縄にどのような可能性をもたらすかについてお話させていただきます。

 ところで、情報スーパーハイウェー構想によって、インターネットの爆発的な成長をもたらした米国のゴア副大統領は、環境問題にも関心が深く、「地球の掟」という環境についての本を書いています。また本日は環境分野の専門家がお二人お話されています。私も多少環境に関連した仕事をしておりますので、話の第1部を情報技術、第2部を情報技術の視点で見た環境問題とさせていただきます。

 さて本論に入る前に、私の現状認識を多少述べさせてください。いま、日本中に「現状を改革すべし」という声が満ち満ちています。実際、各種の権威が急速に崩壊し、絶対に倒産しないと考えられていた企業の倒産さえ起きています。日米の経済戦争に日本が完敗したという、第2敗戦論も唱えられています。金融危機はまだ続いているようですし、規制緩和、競争の促進、省庁再編、行政機関のエージェント化、議会機能の強化、首都移転、など国の骨組みを変革する課題が山積しています。一方で、選挙のたびに投票率は下がり続けています。
 ごくわづかな擾乱で、社会全体の構造が大きく変化するという事態が起きても不思議ではありません。 これを「もの」の状態に例えると、連続的な変化ではなく、例えば水が氷となったり、水蒸気となるというような「相転移」が起きそうな状況です。 
 どうして、このような状況になってしまったのでしょうか。いろいろな説があるようですが、私は地殻変動や大地震のマグマの活動にあたるような変化の原動力は、情報技術すなわちコンピュータと通信技術の進歩にあると考えています。
 この技術進歩は、旧ソ連を瞬時に、まるで魔法のように消滅させてしまいました。それはまた、お金が瞬時に全世界を移動するという資本主義の究極の基盤を用意し、金融のデリバティブという怪物のような商品を生みだしました。この技術はまた、これまでの日本社会の最大の問題点であった情報公開の問題に内外の注目を集めさせています。それはまた、すなわち「知る者と知らされざる者」との関係を変える決定的な要因となりつつあります。

 いわゆるバブルが始まった80年代の中頃、日本は得意の絶頂にあり、アメリカは失意の底に沈んでいました。ジャパン・アズ・ナンバーワンというわけです。実はこのベストセラー原本にはjapan as a number one とa が入っていたのです。つまり、本当の意味は「ナンバーワンの一人としての日本」という意味だったのです。しかし、この甘い誤訳(意訳?)は日本人を高慢にさせました。実際、「最早、アメリカの研究者に学ぶものはない」、などと私のいた基礎医学研究所の研究者も豪語していました。
 それが、いまや完膚なきまでに叩きのめされたという感じです。そして、アメリカは再び開かれた日本を迫っています。これはまさに、幕末のペルリの恫喝、先の敗戦にともなう占領につづく第3の開国の圧力です。それでは、ペルリの黒船、先の敗戦を決定的にしたB29や原爆のような、アメリカの国力を誇示する象徴的な技術はなんでしょうか。それは、インターネットに他なりません。
 私は、WWWの出現とクリントン政権(ゴア副大統領の情報スーパーハイウエー構想)によるインターネットの民間への解放により、これまでのインターネットが質的な変化を遂げ、爆発的発展の兆候が見えた時、この人類史的な大変化を日本に起きるであろう大変化と重ねて、「第3の開国、インターネットの衝撃」を 一気に書き上げました。と言っても、インターネットのインパクトを強調したのは、あくまで情報技術の進歩の象徴としてであります。大変動のマグマとなっているのは、むしろ情報技術の全体です。

 いずれにしてもいまや、国家も、地域も、企業や自治体のような組織も、個人も、情報技術の進歩に如何に適応するかが、生き残りをかけた大問題になってきています。沖縄においてもこの圧力は、いずれもっと顕著になってくるでしょう。後手にまわるか、先手を打ち「問題」を「機会」に転換して、自分に有利な状況をつくりだすか、厳しい選択が迫れている状況にあるのではないでしょうか。もちろん、私は沖縄の方々にできれば状況を先取りしていただきたいと考えています。では具体的にどうしたらよいのでしょうか、その答えではなく、それを考えるヒントは何かが本日のテーマです、そこでまず、情報技術のことからお話したいと思います。




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