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環境


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ルポ・金城幸子さん同行記
【 仕入れ 】▼30年続いている朝の市場通い

愛犬モモとの日課である早朝5時半からの散歩をこなした後の午前7時。観光客にも知られている那覇市の牧志の公設市場の一区画裏手にある新天地市場といわれる、いわば常設の朝市へお供する。直接生産している農家の人たち(女性が多い)が集まる場で、朝4時から5時には"全員集合"し、新鮮な果物、野菜、花卉類などが集まっているところだ。駐車場に車を置いて、背筋をまっすぐ伸ばし、女性としては足早な歩き方で金城さんが市場に足を踏み入れた途端、左右から「金城さんおはよう! きょうは○○がいいよ」とか「きょうは、××が安いよ」などの声が絶えずかかってくる。その一つ一つに金城さんは答えつつ、目は瞬時にものを見分けている。すべて現金で支払うが、現物は受取らない。買ったものはすべて、駐車場の車へ運んでくれるという仕組みになっているという。

あらかじめ用意した仕入れメモを見ながら、すばやく仕入れを終えると、ある花屋さんのテーブルに。どこからともなく、雑炊をイメージするジューシーといわれるお椀が出前される。ご相伴にあずかる。食べながら、花屋さんや農家の女性との話しがはずむ。新情報もどんどん入ってくる。「昨日、マンゴが初出荷された」、「沖縄で花の咲く日は陰暦の1日と15日だ」などなど、ここでなくては分からないミニ情報だ。
その間約10分。コーヒーのサービス(但し、ジューシーとはややミスマッチだったが)までいただいて車に戻る。


【 投げ入れ 】▼花活けはスピードが勝負という哲学

ホテル着8時。休む間もなく、ホテルのメインロビーに金城さんの姿が。大きな花瓶に仕入れてきた花を活け始める。右手に持ったはさみがダイナミックに動く。眺めすかしてという一般的な活け花のイメージはまったくない。多分、花を仕入れたときからどう活けるか、金城さんは頭の中で構図を決めているのではないか(この点は聞きそこなった)。とにかく早い。曰く「活け花はスピードです。瞬間瞬間で感じたことを活けていくのです」。15分あまりで一つの花のオブジェができあがった。自らほうきを持って、切り落とした葉などを掃除する手つきもスムーズそのもの。その代り、金城さんの額には大粒の汗が吹き出していた。


【 人間国宝 】▼"実るほど頭のさがる稲穂かな"

土曜日の午後、お会いしたかった"最新の人間国宝"・芭蕉布の平良敏子さんに、金城さん、いとも簡単にアポイントを入れてくれて、長女・恵子さんの運転で、長躯、大宜味村喜嘉如の芭蕉布保存会を訪ねる。高速道路の終点・許田を降りてさらに58号線をひたすら北上する。梅雨の合間の強い陽射しが痛さを感じる。

そんな中、平良さんは原料の糸芭蕉の手入れのため畑で作業中とか。協同組合の事務所で、しばし、対外的な折衝を一手に引き受けているお嫁さんの美恵子さん(協同組合専務理事)と談笑。5月に人間国宝に認定を受けてから山のような取材申込が寄せられていることなどを伺う。

待つこと40分ほど。畑から平良さんが戻ったとの連絡で、少し離れた保存会の方へ。出迎えてくれた平良さん、汗まみれの作業衣を恥ずかしがるが、目の当たりにして、「実るほど頭のさがる稲穂かな」の諺の典型のようなその挙措に感動すら覚える。金城さんとは手を握り合って話しをする。 「幸子さん、とても嬉しいことがあったのよ。認定を知ってね、昔織った芭蕉布をこんなにたくさん下さったのよ」(写真=右が平良敏子さん)と、散逸していたと思っていた自らの作品がある篤志家の好意によって戻ってきたことを心の芯から喜ぶ平良さんに、金城さんも素直に反応する。そんな二人のやりとりは見ていてほほえましい。

あまり長居はお疲れになるので30分ほどで辞去。車が道を曲がるまで見送ってくれた平良さんに感謝しつつ、金城さんの「私、平良さんのお若いころの芭蕉布をコレクションしてるの。大事にしなくちゃ」のつぶやきは心がこもっていた。


【 国際交流 】▼流暢な英語。顔の広さも超一流。

平良敏子さんのもとを辞去して那覇への帰路、金城さんがぜひ案内したい家があるとのことでお供した。読谷村の海岸部・瀬名波というところに建つホフマン夫妻の邸だ。サンセットと競争しながら、寸前に到着。出迎えてくれたベティ夫人はいかにもインテリジェンス。すでに35年以上も沖縄に住み、海岸のごみ掃除など「環境」にも厳しい姿勢を持ち続けているとか。日米間の文化交流の橋渡しなどをしてくれているという。日本語で「いらっしゃい、お待ちしてました」と言いつつ邸内に通される。一瞬、息を飲む。アメリカ人の設計だそうだが、地形をフルに活かし、総ガラス。応接間はもとより、キッチンからもトイレからも寝室からも海が見えるようになっている。折からこの日のサンセットは終章にさしかかった。

ご主人のギルバートさんはある企業のシニア・コンサルタントを務めている技術屋さん。なぜか日本語はつかわない。だが、ここで金城さんのある側面を発見。ギルバートさんと交わす英語は並みではない。しかも修飾語が教科書英語ではない。国際派・金城幸子を垣間見た感じがした。間もなく、地元のコンサートに出掛けるというホフマン夫妻に別れを告げて、再び那覇を目指す。さすがの沖縄もとっぷりと暮れた。

宜野湾市に入ったところで、中華料理屋で夕食を摂ることに。ここにもお友達が。女主人のチャーさんは中国人。古い友人だという。金城さんの顔の広さを知らされた1日だった。





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インタビュー 金城 幸子[きんじょう・さちこ]